問い合わせメールのAI仕分け検証
種類・緊急度の判定6通とプロンプト
問い合わせメールは、毎日たくさん届くと「どれから対応すべきか」の判断だけで時間が溶けます。生成AIに種類・緊急度・一次対応の要否を仕分けさせれば、トリアージ(優先順位づけ)が自動化できます。ポイントは、「至急」と書かれていなくても本当に急ぎのメールを見抜けるか。架空の6通で検証しました。
検証方法
クレーム・質問・請求トラブル・営業・技術トラブル・お礼の6通を架空で用意し、AIに「種類」「緊急度(高/中/低)」「一次対応の要否」を判定させました。あえて、「至急」と書いてあるのに実は軽いものと、丁寧な言葉だが内容は急ぎのものを混ぜています。
結果:AIの仕分け
| メール | 種類 | 緊急度 | 一次対応 |
|---|---|---|---|
| 商品が届かない | 配送 | 高 | 要(注文番号で状況確認) |
| 料金プランの詳細 | 問い合わせ | 中 | 要(資料送付) |
| 二重引き落とし | 請求トラブル | 高 | 要(金銭・即確認) |
| ツールの売り込み | 営業 | 低 | 不要(定型対応) |
| ログインできない | 技術トラブル | 高 | 要(業務影響) |
| お礼 | お礼 | 低 | 不要 |
注目は、「二重引き落とし」と「ログインできない」。どちらも「至急」とは書かれていませんが、AIは金銭トラブル・業務影響という内容から「高」と判定しました。逆に「至急確認してほしい」と強い言葉の配送メールも、過剰に扱わず内容相応に「高」としています。言葉の強さに引きずられていません。
わかったこと
- 緊急度を“語”でなく“内容”で判定できた。「至急」の有無ではなく、金銭・業務影響などの実害で重みづけした。
- 営業・お礼を正しく低に振り分けた。対応不要の判断もできた。
- 一次対応の中身まで提案できる。「注文番号で確認」など、次の動きまで示せた。
2026年10月の再測定:同じ6通を4条件で仕分けさせた結果
上の6通を、答えを知らないAI(Claude Opus 5.5とHaiku 4.5。ツールは使わせない)に、依頼文だけの場合と、下のプロンプト(高・中・低の基準つき)を使う場合で仕分けさせました。各条件1回で、正解はdocs/email-triage-answer-key.mdに先に書いたものです。架空の6通の要約で、ChatGPT・Gemini・Sonnetなどは試していません。
| 条件 | 緊急度が正解と同じ | 一次対応の要否が正解と同じ | 特記 |
|---|---|---|---|
| Opus・プロンプトあり | 6/6 | 6/6 | 「届いていないという中身で判断した」と根拠に書いた |
| Haiku・プロンプトあり | 6/6 | 5/6(お礼を「任意」とし、正解の「不要」と違う) | 「届いていない中身で判断した」と根拠に書いた。一方、2通目の根拠に、依頼文に無い「料金は確認していない数字を書かないルール」を持ち出した |
| Opus・ただ頼んだ | 6/6(高・中・低の基準は渡していないが同じ結果) | 列を求めていないため採点せず | 「いつもお世話になっております」で始まる二重請求も「高」 |
| Haiku・ただ頼んだ | 高・中・低の区分は出さず、優先順位の並びだけ(採点せず) | 列を求めていないため採点せず | 1通目の理由に、本人が「至急」と書いていることを挙げた |
基準を渡した2条件は、緊急度が6通とも正解と同じでした。基準を渡さなかったOpusも同じ結果でしたが、Haikuは高・中・低に分けず、並び順だけを返しました。並びは、高の3通が上位3つ、中が4番目、営業が5番目、お礼が6番目で、正解の分け方とは矛盾しません。ただし、1通目の理由に「至急」の語を挙げているので、言葉の強さに引きずられないかを見るなら、基準で「中身で判断する」と指示する条件のほうが確かめやすいです。
この結果は6通だけで、緊急度の正解は上の基準で決めたものです。自社の基準が違えば、正解も変わります。6月の検証の回答は原文を残していないため、この10月の表と並べて比べてはいません。
問い合わせメールの仕分けプロンプト(コピーして使えます)
ChatGPT・Gemini・Claudeなどのチャットに、メール本文と一緒に貼り付けて使う形です。当社が結果を確かめたのはClaudeだけで、ChatGPT・Geminiでの結果は検証していません。
次の問い合わせメールを1通ずつ仕分けてください。 出力(1通1行の表):種類/緊急度(高・中・低)/一次対応の要否/次にやること/判断の根拠 緊急度のルール(当社の基準): - 高:お金の二重請求・誤請求、サービスが使えず仕事が止まっている、商品の未着 - 中:購入前の質問、資料の請求 - 低:営業・売り込み、お礼、アンケートの案内 - 「至急」「急ぎ」などの言葉ではなく、書かれている中身で判断する - ルールに当てはまらないものは「要確認」とし、理由を書く [ここにメールを貼り付け。複数ある場合は「---」で区切る]
2026年9月の再確認(Claude Opus 5.5)
上のプロンプトで、この記事の6通をもう一度仕分けさせました。
- 6通の種類と緊急度は、6月の表と同じでした。「至急」と書かれていない二重引き落とし・ログイン不可を「高」、売り込みとお礼を「低」としています。
- 判断の根拠の欄に、ルールのどの行に当てはめたかを書いた。たとえば二重引き落としは「お金の二重請求」に当たる、という形です。
- 「要確認」に回ったメールはありませんでした。
答えを知っている同じサンプルでの再確認なので、初めて見るメールでの精度を示すものではありません。
使うときのコツ
- 緊急度の基準は自社の言葉で書く。上の「当社の基準」は例です。何を高とするかは会社ごとに違うため、ここを書き換えるのが最初の作業です。
- 根拠を書かせる。どのルールに当てはめたかが分かると、判定がずれたときにプロンプトのどこを直せばよいかがすぐ分かります。
- 最初の数週間は人が見比べる。「困っています」の重さのように、現場の感覚とずれやすい判定があります。
よくある質問
「至急」と書かれていないメールでも、AIは急ぎだと判断できますか?
当社の検証(架空の6通)では、「請求が二重に引き落とされているようです」と「ログインできない。仕事で困っている」の2通に「至急」の語はありませんでしたが、AIは金銭トラブルと業務への影響という内容から緊急度「高」と判定しました。強い言葉で「至急確認してほしい」と書かれた配送メールも、内容相応に「高」でした。
営業メールやお礼のメールは、どう仕分けられましたか?
ツールの売り込みは緊急度「低」・一次対応「不要(定型対応)」、お礼は「低」・「不要」でした。料金プランの詳細を知りたい問い合わせは「中」で、一次対応は資料送付でした。
緊急度の判定は、そのまま運用に使えますか?
緊急度の正解は会社の方針で変わります。営業を全部「低」にするか、既存顧客からの営業は「中」にするかは運用ルール次第です。「困っています」の重さは主観で、AIの判定が現場の感覚とずれることもあります。導入時は、何を「高」とするかをAIに明示し、最初は人が抜き取りで確かめます。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)が2026年6月に実施した一次検証です。2026年9月25日に、同じサンプルをClaude(Opus 5.5)で再確認し、使ったプロンプトと結果を追記しました。マルチモーダル生成AI(Claudeを使用)に実際のサンプルを処理させ、結果を自社で記録しました。当社は「今日の一皿」「LLM News」「資格問題ドリル」などのAIプロダクトを自社開発・本番運用しています。会社の詳細はトップページをご覧ください。
検証の進め方は実測の進め方をご覧ください。
問い合わせ対応のトリアージの自動化のご相談
合同会社フューチャープロンプトは、問い合わせメールの種類・緊急度の自動仕分けや一次対応の下書き生成を、御社の優先度ルールに合わせ、まずは小さく試すところからご一緒します。
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