文章校正・チェック

文章校正・誤字脱字チェックをAIで行うメリットと限界

誤字脱字10か所をOpus 5.5とHaiku 4.5で比較・固有名詞の過剰指摘・校正プロンプト

結論(先に)メリットは、仕込んだ誤り4個を全検出しつつ、正しい固有名詞・専門用語を過剰指摘しなかったことです。限界は、手がかりのない裸の社名で誤判定もありえることです。

AIに文章校正をさせると、誤字脱字はかなり見つけてくれます。でも実務でいちばん困るのは、正しいのに「誤り」と指摘してくる“過剰指摘”です。固有名詞や専門用語を毎回直されると、かえって手間が増えます。そこで、本当の誤りと紛らわしいが正しい表現を意図的に混ぜたビジネス文書を作り、生成AIに校正させて両面から検証しました。

誤り4個
仕込んだ誤りを全部検出
過剰指摘0
正しい固有名詞・専門用語は直さず
2種の罠
誤り+“正しいのに紛らわしい”を混在

検証方法

架空のお知らせ文を作り、本当の誤り(赤)を4箇所と、紛らわしいが正しい表現(青)を2箇所、意図的に仕込みました。これを生成AIに「校正して」と渡し、正しく直せるか・余計な指摘をしないかを見ます。

入力:校正させた文章(架空) お客様各位
平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。さて、弊社のクラウド請求サービス「カイテキ請求」は、以外と多くのお客様にご利用いただいており、この度、機能を大幅に拡張する運びとなりした。つきましては、下記のとおりバージョンアップを実施いたします。なお、メンテナンス中はサービスをを一時停止いたします。新機能では、AIが入力内容の整合性を担保し、転記作業を削減します。ご不明な点は、サポートデスクまでお問合せください。なお、操作方法のお問い合わせは平日のみの対応です。今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

結果:AIの校正

仕込んだ誤り4個を、すべて正しく検出・修正できました。

箇所種類AIの指摘
以外と誤変換→ 意外と
運びとなりした脱字→ 運びとなりました
サービスをを助詞の重複→ サービスを
お問合せ/お問い合わせ表記ゆれ→ どちらかに統一を提案

そして重要なのが過剰指摘がゼロだったこと。紛らわしい2箇所を、正しく「直さない」と判断しました。

  • 「カイテキ請求」(固有名詞)→「快適」の誤記とは扱わず、サービス名として保持。
  • 「担保(する)」(専門用語)→「保証/保障」に直さず、「整合性を担保」という正しい用法と判断。

AI校正のメリットと限界(誤字脱字・固有名詞)

  • 明らかな誤りの検出は強い。誤変換・脱字・助詞の重複・表記ゆれを取りこぼさなかった。
  • 文脈があれば過剰指摘を避けられる。「弊社サービス『〜』」という手がかりから固有名詞と判断し、専門用語も用法を理解して直さなかった。
正直な限界:過剰指摘を避けられたのは、文中に固有名詞だと分かる手がかり(カギ括弧・「弊社サービス」)があったからです。手がかりなく裸で書かれた社名・商品名・人名は、誤字と誤判定されるリスクがあります。また、表記ゆれは「どちらが正しいか」を文章だけでは決められません(社内ルール依存)。実運用では、固有名詞の辞書登録や表記ルールをAIに与えると、精度と一貫性が上がります。

追加検証:誤字脱字10か所のチェック(4条件)

2026年9月25日、誤字脱字チェックの力をもう少し広く確かめるため、別の架空のお知らせメールに誤りを10か所と、直してはいけない語を6つ入れ、答えを知らない状態のClaudeに4条件で1回ずつチェックさせました。条件は、モデル(Opus 5.5/軽くて速いHaiku 4.5)と、依頼の仕方(「誤字脱字をチェックしてください」とだけ頼む/下の校正プロンプトを使う)の組み合わせです。

件名:【ご案内】定期メンテナンスの実施と契約更新のお知らせ

株式会社アイカワ製作所
総務部 渡邉様

平素より大変お世話になております。
さて、弊社が提共しているクラウド会計サービスについて、下記の日呈で定期メンテナンスを実施いたしまします。メンテナンス中はサービスをご利用いただけませんので、ご了承ください。

日時:10月11日(日)午前2時〜午前5時

また、現在ご契約中のプランは11月末で契約期間が漫了となります。更新をご希望の場合わ、10月31日までにお手続きををお願いいたします。更新後も料金に変更はありませんが、新に帳票のカスタマイズ機能が追加されます。なお、カスタマイズ機能は、一部の帳票について動作を保障しておりません。

本サービスでは、納品物に瑕疵があった場合の対応や、善管注意義務の範位について、利用規約第12条に定めております。契約内容と実際の運用に齟齬がないか、既存の設定とあわせてご確認いただけますと幸いです。

ご不明な点がございましたら、担当の吉田までご連絡ください。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
仕込んだ誤り(10か所)正しい表記種類
お世話になておりますお世話になっております脱字(小さい「っ」)
提共提供誤字
日呈日程誤変換
実施いたしまします実施いたします衍字
漫了満了誤字
場合わ場合は助詞の誤り
お手続きををお手続きを衍字(助詞の重複)
新に新たに送り仮名
動作を保障しておりません動作を保証しておりません同音異義語
範位範囲誤字

直してはいけない語は、社名「アイカワ製作所」、人名の異体字「渡邉」、法律用語の「瑕疵」「善管注意義務」、「齟齬」「帳票」の6つです。

条件誤りの一覧に挙げた数直してはいけない語を直した数気づいた点
Opus 5.5・プロンプトあり9 / 100 / 6「お世話になております」を一覧に挙げなかったが、最後に出した全文では「っ」を補っていた。社名と人名は「固有名詞の可能性あり」と注記。提案欄に、名乗りと署名が無い点など10件を挙げた
Opus 5.5・ただ頼んだだけ9 / 100 / 6同じく「お世話になております」は一覧に無く、全文では直っていた。「瑕疵」「善管注意義務」「齟齬」は正しいと明記
Haiku 4.5・プロンプトあり8 / 100 / 6「お世話になております」と「保障」を見落とし、全文でもそのまま残った。「日呈」を「日時」と、正しくない字に直した
Haiku 4.5・ただ頼んだだけ9 / 100 / 6「お世話になております」だけを見落とした
  • 小さい「っ」の脱字は、4条件のどれも一覧に挙げなかった。Opus 5.5は全文を直すときに黙って補っていたため、一覧だけを見ると見落としに気づけません。
  • 直してはいけない語を直した条件は無かった。最初の検証(カギ括弧つきのサービス名)と同じく、正しい語を誤りとする過剰指摘は起きませんでした。
  • 誤字脱字では、プロンプトで結果が良くならなかった。Haiku 4.5はプロンプトありの方が1か所少なく、直し方の誤りも1件ありました。プロンプトが役に立ったのは、誤りと提案を分けて読みやすくする点でした。

1つの文章・各条件1回の結果で、精度を保証する数字ではありません。文章と正解は当社が作り、ChatGPT・Geminiでは試していません。

文章校正プロンプト(コピーして使えます)

ChatGPT・Gemini・Claudeなどのチャットに、校正したい文章と一緒に貼り付けて使う形です。当社が結果を確かめたのはClaudeだけで、ChatGPT・Geminiでの結果は検証していません。

次の文章を校正してください。

出力は2つに分けてください。
A. 誤り(誤変換・脱字・衍字・助詞の誤り):箇所/直し方/理由
B. 提案(表記ゆれ・言い回し・文の構成):箇所/提案/理由

ルール:
- 次の語は正しい表記なので直さない:[社名・商品名・専門用語を列挙]
- カギ括弧で囲まれた名前や、見慣れない語は、誤字と決めつけず「固有名詞の可能性あり」と書く
- 表記ゆれは、どちらに揃えるべきかを決めず、両方の表記と出てくる回数を示す
- 直した全文は最後に1回だけ出す

[ここに文章を貼り付け]

2026年9月の再確認(Claude Opus 5.5)

上のプロンプトで、この記事のお知らせ文をもう一度校正させました(正しい表記の欄には何も入れずに実行)。

  • 誤り4か所は、6月の結果と同じくすべて検出しました(以外と、運びとなりした、サービスをを、お問合せ/お問い合わせのゆれ)。
  • 「カイテキ請求」「担保」は直さなかった。「カイテキ請求」はカギ括弧と「弊社のクラウド請求サービス」という文脈から、サービス名と判断しています。
  • 提案として2点を新たに挙げた。①「なお、」が2文で続けて使われている ②「下記のとおり」とあるのに、下に続く内容(記書き)が本文に無い。どちらも誤りではなく、文書の作り方への提案です。

誤りと提案を分けて出させたことで、正しい表現を「誤り」として扱う過剰指摘はありませんでした。答えを知っている同じサンプルでの再確認なので、初めて見る文章での精度を示すものではありません。

使うときのコツ

  • 誤りと提案を分けさせる。まとめて出させると、好みの問題まで直すべき点に見え、確認の手間が増えます。
  • 直さない語を先に渡す。社名・商品名・業界用語を列挙しておくと、手がかりの少ない文章でも誤字扱いされにくくなります。
  • 表記ゆれは社内ルールで決める。「お問合せ」と「お問い合わせ」のどちらが正しいかは文章だけでは決まりません。表記ゆれだけを洗い出したいときは、表記ゆれチェックの検証とプロンプトをご覧ください。
  • 直した全文と元の文を見比べる。追加検証では、小さい「っ」の脱字を誤りの一覧に挙げず、全文の中でだけ直していました。一覧だけでなく、全文との差分を見ると見落としが減ります。

見落としと直し過ぎの実例

誤字脱字10か所の追加検証で、実際に起きた見落としと直し過ぎは次のとおりです。このページは1つの文章の誤字脱字の結果です。表記ゆれ・敬語・日付・住所まで広げた比較は文章校正をAIにさせた実測4本の比較にまとめています。

型実例(原文のまま)起きた条件
一覧に挙げない「お世話になております」(正しくは「お世話になっております」)4条件すべて。Opus 5.5は全文では補っていた
見落として残す「動作を保障しておりません」(正しくは「保証」)Haiku 4.5・プロンプトあり
直し方が違う「日呈」を「日時」に直した(正しくは「日程」)Haiku 4.5・プロンプトあり
直し過ぎ(正しい語を誤りとする)起きなかった(6語とも直さず)4条件すべて

よくある質問

AIの校正は、誤字を見落としますか?

当社の実測では、誤字脱字10か所のうち、誤りの一覧に挙げたのはOpus 5.5が2条件とも9か所、Haiku 4.5が8か所(プロンプトあり)と9か所(ただ頼んだだけ)でした。小さい「っ」が抜けた「お世話になております」は、4条件とも一覧に挙げませんでした。Opus 5.5は全文を直すときに黙って補っていたので、一覧だけでなく直した全文も元の文と見比べる必要があります。

AIは、正しい固有名詞や専門用語まで直してしまいますか?

この実測では直しませんでした。社名「アイカワ製作所」、人名の異体字「渡邉」、「瑕疵」「善管注意義務」「齟齬」「帳票」の6つを、4条件とも直した回はありません。ただし、固有名詞と分かる手がかりが文中にない社名や人名は、誤字と判定される恐れがあります。当社の検証は各条件1回なので、直さない語を先に渡すと安全です。

直し方そのものを間違えることはありますか?

ありました。Haiku 4.5のプロンプトありの条件は、誤変換の「日呈」を正しい「日程」ではなく「日時」に直しました。意味は通るため、直しを機械的に受け入れると見逃します。直し方が合っているかは、原文の意図と照らして確かめてください。

プロンプトを使えば、見落としは減りますか?

この実測では減りませんでした。Haiku 4.5はプロンプトありの方が1か所少なく、「保障」も見落としました。プロンプトが役に立ったのは、誤りと提案を分けて出させ、読みやすくする点です。

表記ゆれや敬語、日付の校正も同じ結果になりますか?

同じとは限りません。表記ゆれ・二重敬語・和暦・住所の実測4本を、見落とした型と疑いすぎた型に分けて並べた文章校正をAIにさせた実測4本の比較をご覧ください。

まとめ

生成AIの校正は、誤字脱字の検出だけでなく、正しい固有名詞・専門用語を“直しすぎない”バランスも取れていました。AI校正で実用上の鍵になるのは、この過剰指摘をどう抑えるか。固有名詞辞書や表記ルールをセットで渡す設計が効きます。

この検証について
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)が2026年6月に実施した一次検証です。2026年9月25日に、同じサンプルをClaude(Opus 5.5)で再確認し、使ったプロンプトと結果を追記しました。マルチモーダル生成AI(Claudeを使用)に実際のサンプルを処理させ、結果を自社で記録しました。当社は「今日の一皿」「LLM News」「資格問題ドリル」などのAIプロダクトを自社開発・本番運用しています。会社の詳細はトップページをご覧ください。
検証の進め方は実測の進め方をご覧ください。

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合同会社フューチャープロンプトは、固有名詞辞書や表記ルールを組み込んだAI校正・文章チェックの仕組みを、御社の文章ルールに合わせて設計・構築します。

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