名寄せをAIで行う精度検証
会社名30件で比較したOpus 5.5・Haiku 4.5の精度と、表記ゆれ・同名別社を扱うプロンプト
顧客リストや名刺を集めると、同じ会社が「株式会社山田商事」「(株)山田商事」「ヤマダ商事」とバラバラに入ります。これを名寄せできれば重複や二重請求を防げますが、怖いのは別の会社を間違って一緒にしてしまうこと。表記ゆれと、紛らわしい別企業を混ぜたリストで、統合と区別の両方を確かめました(架空サンプル)。
検証方法
会社名10件を用意し、AIに「同じ会社をグループにまとめて」と依頼しました。①表記ゆれ(株式会社/(株)/カナ/前株・後株)②紛らわしい別企業(〜商事と〜工業)③法人格違い(株式会社と有限会社)を、わざと混ぜています。
結果:AIの名寄せ
わかったこと
- 表記ゆれを正しく統合できる。前株・後株、(株)、カナ表記の違いを吸収して1社にまとめた。
- 紛らわしい別企業を誤統合しない。「山田商事」と「山田工業」を別会社として分けた。
- 法人格の違いに慎重。「株式会社」と「有限会社」を安易に同一視せず、保留にした。
会社の役員や本店を、登記の書類から読み取る場面は履歴事項全部証明書の読み取りにあります。現任の役員と退任した役員の取り違えを確かめています。
追加検証:会社名30件の名寄せ(4条件)
2026年9月25日、件数を増やして30件の顧客リストで確かめ直しました。同じ会社としてまとめるべき組が8つ(計22件)、別会社として分けるべきもの、保留にすべきもの(法人格違い、同じ名前で所在地違い、略称か別会社か分からないもの)を混ぜています。これを答えを知らない状態のClaudeに、モデル(Opus 5.5/軽くて速いHaiku 4.5)と依頼の仕方(「名寄せしてください」とだけ頼む/下の名寄せプロンプトを使う)の4条件で1回ずつ解かせました。
株式会社山本精機 北斗物産株式会社 有限会社みなと電設 サンライズフーズ株式会社 東洋化工株式会社 合同会社あおば企画 中央建設株式会社(大阪市北区) 丸福商店 株式会社ミライテック 株式会社グリーンリーフ (株)山本精機 ホクト物産(株) (有)みなと電設 Sunrise Foods Co., Ltd. 東洋化工㈱ あおば企画合同会社 中央建設株式会社(札幌市中央区) 丸福商事株式会社 グリーンリーフ株式会社 株式会社ハヤシ製菓 山本精機㈱ 北斗物産株式会社 大阪支店 港電設株式会社 サンライズ・フーズ(株) 東洋化学工業株式会社 株式会社青葉企画 林製菓株式会社 ヤマモト精機株式会社 北斗物流株式会社 山本精機
| まとめるべき組(8つ) | 含まれる表記 |
|---|---|
| 山本精機 | 株式会社山本精機/(株)山本精機/山本精機㈱/ヤマモト精機株式会社/山本精機 |
| 北斗物産 | 北斗物産株式会社/ホクト物産(株)/北斗物産株式会社 大阪支店 |
| みなと電設 | 有限会社みなと電設/(有)みなと電設 |
| サンライズフーズ | サンライズフーズ株式会社/Sunrise Foods Co., Ltd./サンライズ・フーズ(株) |
| 東洋化工 | 東洋化工株式会社/東洋化工㈱ |
| あおば企画 | 合同会社あおば企画/あおば企画合同会社 |
| グリーンリーフ | 株式会社グリーンリーフ/グリーンリーフ株式会社 |
| ハヤシ製菓 | 株式会社ハヤシ製菓/林製菓株式会社 |
統合してはいけないひっかけは6つです。北斗物流(北斗物産と屋号が違う)、丸福商店と丸福商事(屋号が違う)、港電設株式会社(みなと電設と法人格が違う)、株式会社青葉企画(あおば企画と法人格が違う)、東洋化学工業(東洋化工の正式名か別会社か名前だけでは決められない)、所在地の違う中央建設2社(同名の別会社の可能性)です。
| 条件 | 正しくまとめた組 | ひっかけを誤って統合した数 | 気づいた点 |
|---|---|---|---|
| Opus 5.5・プロンプトあり | 7 / 8 | 0 / 6 | 英語の社名「Sunrise Foods Co., Ltd.」だけを保留にした。プロンプトのルールに英語表記が無く、「Co., Ltd.」が株式会社か有限会社か決められないという理由。東洋化学工業は別会社とした |
| Opus 5.5・ただ頼んだだけ | 2 / 8 | 0 / 6 | 最も慎重。前株・後株の違いは「正式な社名が変わる」、カタカナ表記や英語の社名は同じ会社か確認できないとして、6件を要確認に回した。ハヤシ製菓と林製菓は別会社とした。誤った統合は無い |
| Haiku 4.5・プロンプトあり | 8 / 8 | 1 / 6 | 8組すべてをまとめたが、所在地の違う中央建設2社を「支店営業所の表記」として統合した |
| Haiku 4.5・ただ頼んだだけ | 5 / 8 | 5 / 6 | 港電設をみなと電設に、東洋化学工業を東洋化工に、青葉企画をあおば企画に入れ、中央建設2社と丸福の2社も統合した |
- 誤った統合を防ぐのは、モデルの大きさとプロンプトの両方。Haiku 4.5はただ頼むとひっかけ6つのうち5つを統合しましたが、プロンプトを付けると1つに減りました。Opus 5.5はどちらの条件でも0でした。
- Opus 5.5は、ルールに無い違いを統合しない側に倒した。プロンプトありでは英語の社名を、ただ頼んだときは前株・後株やカタカナ表記まで、統合せずに確認へ回しました。誤った統合は防げた一方、正解表の上ではまとめきれない組が出ました。
- 所在地の扱いはプロンプトに書く必要がある。検証で使ったプロンプトには所在地のルールが無く、Haiku 4.5は同名2社を支店とみなしました。そのため検証の後、下のプロンプトに所在地の1行を足しました(足した後の結果はまだ試していません)。
誤って統合した実例(結果表から)
次の表は、上の結果表に記録した内容を、ひっかけごとに並べ直したものです。回答の原文は、9月25日の検証では保存していないため、引用はしていません。
| ひっかけ | 正しい扱い | Haiku 4.5・ただ頼んだだけ | Opus 5.5(2条件とも) |
|---|---|---|---|
| 港電設株式会社 | みなと電設とは法人格が違うため統合しない | みなと電設に統合 | 誤統合は0 |
| 株式会社青葉企画 | あおば企画とは法人格が違うため統合しない | あおば企画に統合 | 誤統合は0 |
| 東洋化学工業株式会社 | 名前だけでは決められないため統合しない | 東洋化工に統合 | 別会社として扱った |
| 中央建設(大阪市北区/札幌市中央区) | 同名の別会社の可能性があるため統合しない | 2社を統合 | 誤統合は0 |
| 丸福商店と丸福商事株式会社 | 屋号が違うため統合しない | 2社を統合 | 誤統合は0 |
Haiku 4.5・ただ頼んだだけの5件は、上の結果表の記載に基づきます。Haiku 4.5・プロンプトありで誤って統合したのは、所在地の違う中央建設2社の組だけです。「支店営業所の表記」と判断して統合しました。
前株・後株(「株式会社○○」と「○○株式会社」)は、厳密には別の商号です。この検証では顧客リストの入力の揺れとして同じ会社に数えましたが、確定には法人番号や住所での照合が必要です。1つのリスト・各条件1回の結果で、精度を保証する数字ではありません。
会社名の名寄せプロンプト(コピーして使えます)
ChatGPT・Gemini・Claudeなどのチャットに、会社名の一覧と一緒に貼り付けて使う形です。当社が結果を確かめたのはClaudeだけで、ChatGPT・Geminiでの結果は検証していません。
次の会社名の一覧を、同じ会社ごとにグループにまとめてください。 ルール: - 「株式会社」「(株)」「(株)」、前株・後株、カタカナ・ひらがな・漢字の違いは同じ会社として扱ってよい - 「商事」と「工業」のように、屋号の一部が違うものは別の会社とする - 法人格(株式会社・有限会社・合同会社など)が違うものは統合せず「保留」にする - 法人格が書かれていない名前が、法人格の違う複数の候補に当てはまるときは、どれにも統合せず「保留」にする - 同じ名前でも所在地が違うものは、同じ会社か同名の別会社か名前だけでは決められないため「保留」にする(2026年9月25日の検証後に追加) - 各グループに、統合した理由を1行で書く 出力:統合したグループ/別会社として分けたもの/保留(理由つき) [ここに会社名の一覧を貼り付け]
2026年9月の再確認(Claude Opus 5.5)
上のプロンプトで、この記事の10件をもう一度名寄せさせました。
- 山田商事の4件、東京電子工業の2件の統合と、山田工業を別会社とした点は、6月と同じでした。
- 法人格の書かれていない「みどり製作所」を、6月は株式会社みどり製作所に統合していましたが、今回は保留にしました。「株式会社みどり製作所」と「ミドリ製作所有限会社」のどちらにも当てはまりうるためで、上のプロンプトの4つ目のルールによる違いです。
- 結果として保留は2件(ミドリ製作所有限会社、みどり製作所)になりました。
答えを知っている同じサンプルでの再確認なので、初めて見るリストでの精度を示すものではありません。
使うときのコツ
- 保留の条件を先に書く。何も指示しないと、AIは近い名前を統合する方向に寄ります。今回のように、法人格の無い名前の扱いで結果が変わります。
- 確定は法人番号で行う。国税庁の法人番号(13桁)や住所で照合すると、同じ名前の別会社を分けられます。AIの名寄せは候補づくりまでにとどめます。
- 統合の理由を残させる。後から顧客データを戻す必要が出たとき、どの判断で統合したかが追えます。
まとめ
会社名の名寄せは、表記ゆれの統合と別企業の区別を高い精度でこなし、判断に迷うケースを「保留」にできる点が実用的でした。重要なのは、AIに全部を確定させないこと。「AIで候補出し→法人番号で確定」という二段構えにすれば、安全に重複を減らせます。
よくある質問
AIで名寄せをすると、別の会社を同じ会社にまとめてしまいますか?
当社の検証(会社名30件)では、Haiku 4.5に「名寄せしてください」とだけ頼むと、統合してはいけない6つのうち5つを統合しました。Haiku 4.5の誤統合は、名寄せプロンプトを付けると1つに減りました。Opus 5.5の誤統合は、2条件とも0でした。1つのリストで各条件1回の結果です。
同じ名前で所在地が違う会社は、同じ会社として扱えますか?
名前だけでは決められません。当社の検証では、所在地の違う中央建設2社を、Haiku 4.5がプロンプトありの条件で統合しました。使ったプロンプトに所在地のルールが無かったためで、検証の後に所在地の1行を足しましたが、足した後の結果はまだ試していません。
名寄せは、AIに任せきりにしてよいですか?
任せきりにはしないでください。AIは統合候補のあたりをつけ、迷うものを保留にするところまでを担当し、確定は法人番号(国税庁の13桁)や住所での照合で行うのが安全です。
(株)と株式会社、前株と後株は同じ会社として扱ってよいですか?
この検証では、顧客リストの入力の揺れとして同じ会社に数えました。厳密には前株と後株は別の商号なので、確定には法人番号や住所での照合が必要です。Opus 5.5のただ頼んだ条件は、前株・後株の違いも確認に回しました。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)が2026年6月に実施した一次検証です。2026年9月25日に、同じサンプルをClaude(Opus 5.5)で再確認し、使ったプロンプトと結果を追記しました。マルチモーダル生成AI(Claudeを使用)に実際のサンプルを処理させ、結果を自社で記録しました。当社は「今日の一皿」「LLM News」「資格問題ドリル」などのAIプロダクトを自社開発・本番運用しています。会社の詳細はトップページをご覧ください。
検証の進め方は実測の進め方をご覧ください。
顧客データのクレンジング・名寄せの仕組みづくりのご相談
合同会社フューチャープロンプトは、顧客リストの表記ゆれ統合や重複名寄せを、AIによる候補出しと法人番号などでの確定を組み合わせ、導入の可否判断から運用まで一緒に進めます。
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