経緯書の書き方(時系列の表・事実と推測の分け方)
経緯書をAIに書かせたときの実測・プロンプト
経緯書に書くこと(時系列・事実と推測の区別)
この記事で「経緯書」と呼ぶのは、起きたことの流れを時系列でまとめて上司や関係者に出す社内書類です。公的な様式があるものではなく、名称や書式は会社ごとに異なります(「経緯報告書」「経緯説明書」などと呼ぶ会社もあります)。原因の分析や再発防止まで書く書類は、顛末書・始末書の書き方とテンプレートで扱っています。書類の違いは顛末書・始末書・事故報告書など5書類の違いにまとめています。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 宛先・作成者・件名 | 誰が誰に出すか、何についての経緯か |
| 時系列 | 日時・出来事・誰が、を古い順に。思い出した順のメモは並べ替える |
| 事実 | 記録や本人が確かめた内容。日時・品番・数量など |
| 聞いた話・推測 | 他の人の発言は「と言っていた」、本人の見立ては「と思うが、はっきりしない」のまま、事実と別に書く |
| 分からないこと | メモに無いことは「メモには無い」と書く |
AIで経緯書を書かせたときの実測
担当者のメモ(架空)を、答えを知らない状態のClaude(Opus 5.5/軽くて速いHaiku 4.5)に、「次のメモをもとに、横山課長に出す経緯書を書いてください。」とだけ頼む条件と、下のプロンプトを使う条件の4通りで、1回ずつ書かせました(2026年10月15日)。メモには、間違えやすい点を3つ入れています。思い出した順に書かれていて時刻が前後していること(10/8の14:05の電話が先頭にあります)、倉庫の担当者や取引先の発言(聞いた話)と「私の聞き違いだと思うが、はっきりしない」という推測が混ざっていること、原因と再発防止は別の書類で書くと書いてあることです。
【納品の取り違えについての担当者のメモ(架空。実在の会社・個人とは関係がない)】 ■基本 勤務先:株式会社みなと食品(架空) 経緯書の宛先:営業部 横山課長 作成者:営業部 森田 剛 取引先:大川商店(仕入担当 青木さん、荷受 平井さん) 原因と再発防止は、あとで顛末書に別に書く。経緯書には、起きたことの流れだけを書く。 ■思い出した順に書いたメモ ・10/8(木) 14:05 青木さんから電話。「頼んだのと違う。45cmが届いている」。受けたのは私。 ・10/5(月) 9:40 青木さんから電話で注文。品番K-210(業務用ラップ 30cm)を20ケース、10/8(木)の午前着の希望。受けたのは私。 ・発注システムへの入力は10/5の11:15、私。入力した品番はK-201(同 45cm)だった(これは10/8になって分かった)。数量の20ケースは合っていた。 ・10/6(火) 16:30 倉庫が伝票を発行。K-201を20ケース出荷の準備。 ・倉庫の谷さんは「伝票の品番どおりに出しただけ」と言っていた。 ・10/8(木) 10:20 納品。受領サインは大川商店の荷受 平井さん。 ・10/8 14:30 横山課長に報告した。 ・10/8 15:00 課長の指示で、K-210を20ケース手配することにした。倉庫のK-210の在庫は12ケースだけ。残りの8ケースは10/13(火)入荷の予定。 ・10/9(金) 10:00 K-210を12ケース納品し、届いていたK-201のうち12ケースを回収した。 ・10/13(火) 15:30 K-210の残り8ケースを納品し、K-201の残り8ケースを回収した。 ・青木さんは「10/8の午後の作業に間に合わず、半日止まった」と言っていた。金額の話は出ていない。 ・注文のときの私の聞き違いだと思うが、はっきりしない。録音は無い。 ■依頼 上のメモをもとに、横山課長に出す経緯書を書いてください。時系列の表(日時・出来事・誰が)と、事実と推測・聞いた話を分けた書き方で。
採点は8項目です。①宛先・作成者 ②時系列の順と日時 ③取り違えの事実(品番・サイズ・数量) ④差し替えの数(12ケースと8ケース、納品と回収) ⑤推測と聞いた話の区別 ⑥範囲(原因の断定・再発防止・責任の評価を書かない) ⑦先方への影響(半日止まったは先方の話、金額は不明のまま) ⑧書き足しが無い。正解表は、回答を取る前に作ってコミットしました。文面の読みやすさは採点していません。ただし、「ただ頼んだ」条件にも、メモの「依頼」の行に表の形と事実・推測の分け方が書いてあります。このため、プロンプトの有無の差を見る検証としては、差がつきにくい条件です。
| 条件 | 8項目 | 経緯書の結果 | メモに無い書き足し |
|---|---|---|---|
| Opus 5.5・ただ頼んだだけ | 8 / 8 | 時系列は日時の古い順に直り、品番K-210とK-201の取り違えと、12ケース・8ケースの差し替えが正しい。谷さんの発言と青木さんの「半日止まった」は「聞いた話」の欄、聞き違いは「推測」の欄に分けた | なし。ただし、概要に「私の受注メモによる」と、メモに無い書類名を書いた(採点は○) |
| Haiku 4.5・ただ頼んだだけ | 8 / 8 | 8項目とも正解。事実・推測・聞いた話の3つに分け、「メモに記載がなく確認できていないこと」の欄も付けた | なし。メモに無い「数量の整理」の節を足したが、数字はメモから導いたもの |
| Opus 5.5・プロンプトあり | 8 / 8 | 8項目とも正解。「メモで分からないこと」を8点挙げた(例:納品・回収をした人、回収したK-201の扱い) | なし |
| Haiku 4.5・プロンプトあり | 8 / 8 | 8項目とも正解。「メモで分からないこと」を7点挙げた | あり。末尾に頼まれていない助言「次は、上の「メモで分からないこと」を森田さんに確認してから、この経緯書を横山課長に提出するのがよいと思います。」を足した(正解表の書き足しの例に当たらないので採点は○) |
- 時系列と数字は、4条件ともすべて正解だった。メモの先頭にあった10/8 14:05の電話は、4条件とも10/5の注文、入力、10/6の伝票、10/8の納品の後ろに直りました。K-210(30cm)の注文とK-201(45cm)の入力・納品の取り違え、12ケースと8ケースの差し替えも、誤りは0件です。
- 推測と聞いた話は、4条件とも事実と別に書いた。メモの「聞き違いだと思うが、はっきりしない」は推測、谷さんの「伝票の品番どおりに出しただけ」と青木さんの「半日止まった」は聞いた話の欄に入りました。聞き違いが原因だと断定した回答は0件です。
- 原因と再発防止は、4条件とも書かなかった。「原因と再発防止は別の顛末書に書く」という趣旨は、4条件とも冒頭か概要・要約に書いていました。金額や補償の話を作った回答は0件です。
- プロンプトありの2条件は、指示どおり「メモで分からないこと」の欄を設けた。Opus 5.5は8点、Haiku 4.5は7点を挙げました。ただ頼んだHaiku 4.5も同じ趣旨の欄を自分で付けましたが、Opus 5.5には付いていません。欄の有無が採点を変えたことはありません。
- Haiku 4.5・プロンプトありは、本文の外に頼まれていない助言を1文足した。「次は、上の「メモで分からないこと」を森田さんに確認してから、この経緯書を横山課長に提出するのがよいと思います。」という一文で、経緯書の本文ではなく、作成者へのコメントです。プロンプトには「メモに無い…約束は足さない」とありますが、助言までは止まりませんでした。正解表の書き足しの例(日時・人名・数量・約束)には当たらないため採点は○で、観察として残します。
- Opus 5.5・ただ頼んだは、メモに無い書類名を書いた。概要に「ご注文の内容(私の受注メモによる)」とあり、メモに「受注メモ」という書類はありません。採点では書き足しの例(日時・人名・数量・約束)に当たらないので○でしたが、提出前に消す箇所です。
- 提出前に読み直す箇所は、本文の外の一文と、メモに無い書類名や数字。この検証では日時・数量は正しかったので、メモと1行ずつ照らすのは、足された文と名詞です。
経緯書を書かせるプロンプト(コピーして使えます)
上の検証で「プロンプトあり」に使ったものと同じです(検証では、このプロンプトの前に「ツールは一切使わず、次の依頼への回答だけを返してください。前置きや作業の説明は不要です。」の2文を添えています)。
次のメモをもとに、横山課長に出す経緯書を書いてください。次の順とルールを守ってください。 1. 順は、①宛先・作成者・件名 ②経緯の要約(3行以内)③時系列の表(日時・出来事・誰が)④事実として確かめられていること/推測・聞いた話の区別 ⑤メモで分からないこと、の順。 2. 時系列は、メモの並びでなく日時の古い順に直す。曜日はメモにあるものだけ書く。 3. 推測(本人の見立て)と聞いた話(他の人の発言)は、事実と別の欄に分け、「と言っていた」「と思うが、はっきりしない」の形のまま書く。 4. 原因の断定、再発防止策、責任の評価は書かない。メモに「別の書類で書く」とあればそのとおりにする。 5. メモに無い日時・人名・数量・金額・約束は足さない。分からないことは「メモには無い」と書く。 [ここにメモを貼り付け]
使うときのコツ
- メモは、思い出した順のままでよい。この検証では、並べ替えを頼まなかった「ただ頼んだ」2条件でも、日時の古い順に直りました(プロンプトありは並べ替えを指示しています)。
- 聞いた話と推測は、メモの段階で見分けられるように書く。この検証では、「と言っていた」「はっきりしない」とメモに書いた今回は、4条件とも別の欄に分けました。メモに書かない場合の結果は試していません。
- 「別の書類で書く」とメモに書く。原因と再発防止を経緯書に混ぜないための指示です。
- 最後は、メモと1行ずつ照らす。足された助言、メモに無い書類名や人名が無いかを見ます。
よくある質問
経緯書には何を書きますか?
起きたことの流れを、宛先・作成者、時系列(日時・出来事・誰が)、事実、聞いた話と推測、メモで分からないこと、の順に書きます。この記事での整理で、公的な様式ではなく、書式は会社ごとに異なります。
AIに経緯書を書かせると、時系列や事実と推測の区別を間違えますか?
当社の検証(架空のメモ、各条件1回)では、Claude Opus 5.5・Haiku 4.5の4条件とも、日時の順、品番・数量、推測と聞いた話の区別を正しく書きました。Haiku 4.5・プロンプトありは、頼まれていない助言を本文の外に1文足しました(採点は満点)。複雑なクレームや記録が少ない場合は試していません。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月15日に行いました。検証の作り方は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。
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