書き方と実測

賃貸の重要事項説明書をAIに要約させる検証

解約予告・違約金・特約の読み落としと書き足しの実測・プロンプト

結論(先に)賃貸の重要事項説明書(架空・解約条件と違約金つき)をAIに要約させ、解約予告・違約金・特約の読み落としと書き足しを調べました。Opus 5.5とHaiku 4.5を、ただ頼んだ条件とプロンプトありの条件で試した4条件は、解約予告・違約金とその例外・特約をどれも落としませんでした。差が出たのは書き足しで、Haiku 4.5(ただ頼んだだけ)だけが、説明書に無い合計312,000円や法律上の注意を足しました。

重要事項説明書の要約で読み落としやすいところ

賃貸の重要事項説明書は、契約の前に、宅地建物取引士が書面を渡して説明するものです。説明する事項は宅地建物取引業法35条に定められていて、その中に「契約の解除に関する事項」と「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」があります。要約するときは、次の点を見ます。

  • 解約予告の期間と方法:何か月前までに、書面か口頭かのどちらで知らせるかです。
  • 予告が足りないときの扱い:不足する日数分の賃料を払うなど、但し書きに書かれます。
  • 違約金とその例外:「1年未満の解約は賃料2か月分」のあとに、「転勤の辞令の写しを添えれば免除」のような例外が続くことがあります。
  • 特約:クリーニング費用や喫煙時の張り替え費用など、借主の負担が増える内容が入ります。
  • 貸主からの解約:借主の場合と、期間や条件が違います。

契約書そのものの要点は、賃貸借契約書の要点(解約予告・原状回復・特約)の抜き出しで調べています。この記事は、契約の前に渡される重要事項説明書の要約を対象にしています。内容が法令や実際の契約に合っているかは、調べていません。

AIに重要事項説明書を要約させたときの実測

下の説明書(架空)を、答えを知らない状態のClaude(Opus 5.5/軽くて速いHaiku 4.5)に、「次の賃貸の重要事項説明書を、借りる人が内容をつかめるように要約してください。」とだけ頼む条件と、下のプロンプトを付ける条件で読ませました。4条件です。

重要事項説明書(建物賃貸借)

説明の日付:2026年11月2日
貸主:みなと不動産管理 株式会社(架空)
物件:ハイツみなと台 302号室(みなと市みなと台2丁目5番8号・架空)
専有面積:25.40平方メートル(1K)

第1 金銭に関する事項
1. 賃料:月額78,000円
2. 管理費:月額5,000円
3. 敷金:156,000円(賃料の2か月分)
4. 礼金:78,000円
5. 鍵交換費用:16,500円(借主負担、入居時に支払う)
6. 火災保険料:20,000円(2年分、入居時に支払う)
7. 保証委託料:初回に、賃料と管理費の合計の50%(41,500円)。保証会社への加入が必要。

第2 契約期間と更新
1. 契約期間:2026年12月1日から2028年11月30日まで(2年間、普通借家契約)
2. 更新料:更新するとき、賃料の1か月分(78,000円)を支払う。

第3 契約の解除に関する事項
1. 借主からの解約:解約する日の2か月前までに、書面で貸主に通知する。通知が遅れて2か月に満たない場合は、不足する日数分の賃料と管理費を日割りで支払う。
2. 短期解約の違約金:入居日から1年未満で解約する場合は、賃料の2か月分(156,000円)を違約金として支払う。ただし、会社の転勤の辞令が出たことによる解約で、辞令(発令書)の写しを添えた場合は、違約金を免除する。
3. 貸主からの解約:貸主は、6か月前までに書面で通知し、正当な事由があるときに限り、解約を申し入れることができる。

第4 退去時の精算に関する事項
1. 原状回復:国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方に従い、通常の使用による損耗や経年変化の修繕費用は、貸主が負担する。
2. 敷金:退去後に、借主の負担分を差し引いて返す。

第5 特約事項
1. ハウスクリーニング:退去時のハウスクリーニング費用38,500円(税込)は、借主が負担する。
2. 喫煙:室内で喫煙した場合は、退去時のクロスの全面張り替え費用を、借主が負担する。

第6 禁止事項
1. ペットの飼育は禁止する。
2. 楽器の演奏は禁止する。
3. 入居者の追加は、事前に貸主の承諾を得る。

説明書には、読み落としやすい場所を入れました。予告が足りないときの日割り、違約金の例外(転勤の辞令)、貸主からの解約の条件、2つの特約です。

採点は8項目です。①借主の解約予告(2か月前・書面) ②予告が足りないときの日割り ③短期解約の違約金(1年未満・156,000円) ④違約金の例外(転勤の辞令) ⑤特約2つ ⑥金額が原文どおり ⑦貸主からの解約(6か月前・正当な事由) ⑧説明書に無い金額・日付・法律上の評価を足していない。結果は次のとおりです。

条件8項目読み取り書き足し・注
Opus 5.5・ただ頼んだだけ8 / 8解約予告2か月前・書面、不足日数分の日割り、違約金156,000円、転勤の辞令の免除(発令書の写し)、貸主の解約(6か月前・正当な事由)、特約2つ、金額が原文どおり新しい数字や評価は無し。原状回復の説明は「普通に使って生じた傷みや年数による劣化」と言い換えただけ
Opus 5.5・プロンプトあり8 / 8同じ項目がすべて正解。説明書と同じ順に見出しを付けた新しい数字や評価は無し。貸主の解約の「期間に満たないときの扱い」「違約金」、敷金の「返還の時期」を「記載なし」と書いた
Haiku 4.5・ただ頼んだだけ7 / 8同じ項目がすべて正解(金額も原文どおり)入居時の合計「312,000円」、「月額83,000円」、礼金の「返金なし」、「2027年11月30日まで」、法律上の評価(特約が有効と認められる条件)、「契約前に確認したい点」4つ、次にすることの助言を足した
Haiku 4.5・プロンプトあり8 / 8同じ項目がすべて正解。説明書と同じ順に見出しを付けた新しい数字や評価は無し。「説明書に記載のない項目」として光熱費・駐車場・保証会社の名称・更新の手続きの4つを「記載なし」と並べた
  • 読み落としは、4条件とも0件だった。解約予告、日割り、違約金、免除の例外、貸主の解約、特約2つは、どの条件でも書かれ、金額も原文どおりでした。
  • 差が出たのは、書き足しだった。Haiku 4.5(ただ頼んだだけ)は、入居時の費用を足した「312,000円」、「2027年11月30日まで」という日付、「特約が有効と認められるには、借主が内容を理解して同意していることが必要です」という法律上の評価などを足しました。説明書に書かれていない内容なので、そのまま使うと、説明書に無い判断が混ざります。
  • Opus 5.5は、ただ頼んだだけでも新しい数字や評価を足さなかった。1条件ずつの結果なので、モデルの違いとは言い切れません。
  • プロンプトありの2条件は、書き足さず「記載なし」と書いた。Opus 5.5は貸主の解約の違約金などを、Haiku 4.5は光熱費や駐車場などを「記載なし」としました。プロンプトに「説明書に書かれていない項目は「記載なし」と書く」を入れた2条件で、こう書かれました(1回ずつの結果です)。説明書に無い項目が分かる一方、要約は長くなります。

退去後に届く精算書の読み取りは退去時の原状回復費用の精算書をAIに読ませる検証にまとめました。

この検証の範囲:項目が少ない架空の説明書1つで、各条件1回ずつの結果です。説明書と正解は当社が作ったものです。同じ条件で繰り返すと結果が変わることがあり、項目がもっと多い実際の書面で同じになるとは限りません。ChatGPT・Gemini・Sonnetは試していません。画像やPDFの説明書も試していません。

重要事項説明書の要約のプロンプト(コピーして使えます)

上の検証で「プロンプトあり」に使ったものと同じです(検証では、このプロンプトの前に「ツールは一切使わず、次の依頼への回答だけを返してください。前置きや作業の説明は不要です。」の2文を添えています)。

次の賃貸の重要事項説明書を、借りる人が内容をつかめるように要約してください。ルールは次の6つです。
1. 金額・期間・日付は、説明書のとおりに書く。数字を変えたり丸めたりしない。
2. 解約に関する項目(借主・貸主それぞれの解約の期間と通知の方法、期間に満たないときの扱い、違約金とその例外)は、但し書きや例外も省かずに書く。
3. 特約は、すべて書く。
4. 項目ごとに見出しを付け、見出しの順は説明書の順にする。
5. 説明書に書かれていない事柄(法律上の評価、有利・不利の判断、助言、説明書に無い計算結果)は、書き足さない。
6. 説明書に書かれていない項目は「記載なし」と書く。

[ここに重要事項説明書を貼り付け]

使うときのコツ

  • 解約に関する項目を名指しする。「但し書きや例外も省かずに書く」と書いて、落とさないよう明示します。今回は、指定の無い条件でも落としませんでした(1回ずつの結果です)。
  • 「書き足さない」を入れる。今回、ルール5を付けなかった2条件のうち、書き足したのはHaiku 4.5だけでした(Opus 5.5は付けなくても足しませんでした)。
  • 要約は原文と見比べる。AIの要約は、説明書の代わりにはなりません。契約の前に、宅地建物取引士の説明を受け、書面そのものを確かめます。

要約のあとに人が確かめる項目は、AIに読ませたあと人が確かめる項目にまとめています。

まとめ

賃貸の重要事項説明書を要約させると、Opus 5.5・Haiku 4.5ともに、解約予告・違約金とその例外・特約を落としませんでした。差が出たのは書き足しで、指示のないHaiku 4.5だけが、説明書に無い合計や法律上の評価を足しました。見る場所は、要約の中の、説明書に無い数字と判断です。

よくある質問

重要事項説明書をAIに要約させると、解約予告や違約金を読み落としませんか。

この検証では、Opus 5.5とHaiku 4.5のどちらも、4条件すべてで、借主の解約予告(2か月前・書面)、予告が足りないときの日割り、1年未満の違約金156,000円、転勤の辞令による免除、貸主からの解約(6か月前・正当な事由)、2つの特約を落としませんでした。ただし各条件1回の結果で、項目の少ない架空の説明書です。実際の書面で同じになるとは限りません。

AIは、要約に説明書に無いことを書き足しますか。

この検証では、Haiku 4.5(ただ頼んだだけ)だけが書き足しました。入居時の合計312,000円、法律上の評価に当たる注意、「契約前に確認したい点」の4つなどです。ほかの3条件は、説明書に無い数字や評価を足しませんでした。

重要事項説明書の内容が正しいかどうかも、AIで確かめられますか。

この検証では、AIに説明書の内容を要約させただけで、内容が法令や実際の契約に合っているかは調べていません。重要事項説明書で説明する事項は宅地建物取引業法35条に定められていて、契約の解除に関する事項(8号)や、損害賠償額の予定又は違約金に関する事項(9号)も入っています。内容の確認は、宅地建物取引士の説明と書面で行います。

この説明書の会社や物件は実在しますか。

いいえ。貸主・物件・住所・金額・日付はすべて当社が作った架空のものです。

このページについて
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月15日に行いました。検証の作り方は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。

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