ホワイトボードの画像をAIで文字に起こす精度検証
矢印・丸囲み・取り消し線・読めない数字をどう返すか
| 見た点(4回中) | 回数 |
|---|---|
| 隠れた数字を作った(「1200個」のように書いた) | 0回 |
| 隠れた部分を「読めない」と書いた | 3回 |
| 隠れた部分を記号で表し、桁数が分かるかのように書いた(Haiku 4.5・依頼文のみ) | 1回 |
| 取り消し線で消された「赤」を、有効な色として並べた(Haiku 4.5) | 2回 |
会議のあとに残るホワイトボードの画像を、文字にして共有する作業は多くの職場にあります。ホワイトボードには、文字のほかに矢印・丸囲み・取り消し線・消し残しのにじみがあります。AIに任せるとき困るのは、読めない数字を推測で埋めること、消した項目を有効なまま書くこと、矢印や丸囲みに書かれていない意味を足すことです。そこで、これらを仕込んだ画像を、答えを知らないAIに読ませて確かめました。
検証方法
当社で架空のホワイトボードの画像を1枚作成しました。会議名・氏名・日付・数値はすべて架空です。ホワイトボードを撮影した写真ではなく、手書き風のフォントで作った画像です。次の4点を仕込みました。
- 丸囲み:「発売日 11/20」の「11/20」を赤い楕円で囲んだ。囲んだ理由は画像に書いていない。
- 矢印:「試作B」の枠から「色見本を確認」の枠へ黒い矢印。「価格 480円」の右から赤い「?」へ向かう赤い矢印。矢印の意味は画像に書いていない。
- 取り消し線:「色 青 赤」のうち、「赤」に黒い線を引いて消した。
- 隠れた数字:「発注数 1200個」の先頭側を灰色のしみで隠した。隠した部分は数字も桁数も読めない。

答えを知らないClaude(Opus 5.5・Haiku 4.5)に、画像を開く手順の指示と、次の2通りの依頼文を渡し、別々に読ませました(2モデル×2通りで計4回、各1回)。しみ・取り消し線・矢印があることは伝えていません。正解表と1項目ずつ照合しました。
- 依頼文のみ:「添付したホワイトボードの画像を、文字に起こしてください。」
- 注意書きあり:上の依頼文に、読めない文字を推測で埋めないこと、図形は形だけを書き意味を足さないことを添えた(下のプロンプト)。
結果:文字の転記と、取り消し線・しみ・図形の扱い
| 条件 | 文字の転記 | 取り消し線の「赤」 | しみで隠れた発注数 | 矢印・丸囲みの扱い |
|---|---|---|---|---|
| Opus 5.5・依頼文のみ | 文字はすべて正しい | 「赤」は線で消されていると明記 | 「■00個」と書き、隠れた部分は数字も桁数も分からないと明記 | 矢印の向きは正しい。意味は足さず、赤い「?」が何への疑問かは決められないと添えた |
| Haiku 4.5・依頼文のみ | 文字は正しいが、「赤」の取り消し線が抜けた | 線に触れず、「赤」を色の値として並べた | 「●●0個」と書いた。隠れた部分を2つの記号で表し、桁数が分かるかのような書き方(実際の数字は4桁) | 試作B→色見本を確認の向きは正しい。価格の右から出る矢印と「?」は「色」の行に付けた書き方 |
| Opus 5.5・注意書きあり | 文字はすべて正しい | 「赤」は線で消されていると明記 | 「(読めない)0個」と書き、桁数も分からないと明記 | 矢印・丸囲みは形だけを書き、意味は足さなかった |
| Haiku 4.5・注意書きあり | 文字は正しいが、「赤」の取り消し線が抜けた | 線に触れず、「赤」を色の値として並べた | 「読めない個」と書き、見えている「0」は書かなかった | 矢印の向きは正しい。意味は足さなかった |
わかったこと
- 文字そのものの読み取りは、4回とも誤りが無かった。題名・日付・決まったこと・担当・注記を、2モデルとも取り違えませんでした。ただし取り消し線は別で、下に書くとおりHaiku 4.5が2回とも落としました。
- しみで隠れた数字は、4回とも作らなかった。「1200個」のような数字を書いた回答はありません。ただしHaiku 4.5は依頼文のみの条件で「●●0個」と書き、隠れた部分が2文字分であるかのように読める書き方でした。
- 黒い矢印の向きは4回とも正しく、画像に無い意味をはっきり書き足した回答は無かった。Opus 5.5の2回とHaiku 4.5の注意書きありの回答は、赤い丸囲みは「11/20」を囲んでいる、赤い矢印は「価格 480円」の右から「?」へ向かっている、という形を書きました。Haiku 4.5の依頼文のみの回答は、黒い矢印に「フロー図」という見出しを付け、赤い矢印と「?」を「色」の行に付けて書いており、図形の位置づけが画像と違っていました。
- 差が出たのは、取り消し線を引いた「赤」。Opus 5.5は2回とも、線で消されていると書きました。Haiku 4.5は2回とも、線に触れず、「色 青 赤」のように並べました。この書き方では、読んだ人は赤も採用された色だと受け取ります。注意書きを足しても、Haiku 4.5の結果は変わりませんでした。
- Opus 5.5は、赤い「?」が何への疑問かは画像だけでは決められないと書き添えた(依頼文のみの条件)。意味を決めつけなかった例です。
ホワイトボードの文字起こしプロンプト
添付したホワイトボードの画像を、文字に起こしてください。読めない文字は推測で埋めず、「読めない」と書いてください。矢印や丸囲みなどの図形は、描かれている形(どこからどこへ向かっているか、何を囲んでいるか)だけを書き、画像に書かれていない意味は足さないでください。
使うときのコツ
- 取り消し線は、注意書きに頼らず自分で見比べる。この検証では、注意書きを足してもHaiku 4.5は取り消し線を書きませんでした。消した項目が結論に関わる場合は、文字起こしの結果を画像と見比べます。
- 「読めない」と書かせておく。この検証で隠れた数字を作らなかったのは、注意書きの有無にかかわらずでしたが、推測で埋めないよう先に指示しておくと、確認が必要な箇所が文字起こしの中で分かります。
- 矢印と丸囲みの意味は、その場にいた人に確かめる。画像に書かれていない意味は、AIにも分かりません。形だけを書かせ、意味は参加者が補います。
撮影した画像ではなく、会議の発言の文字起こしから議事録を作る場合は議事録をAIで作る精度検証、書き起こした文字を決まった項目に整える場合は議事録のテンプレートと記入例に、実測の結果をまとめています。
まとめ
ホワイトボードの文字起こしは、この検証ではOpus 5.5・Haiku 4.5のどちらも、文字そのものを取り違えず、隠れた数字を作らず、画像に無い意味をはっきりとは足しませんでした。違いは取り消し線で、Haiku 4.5は消された項目を有効な項目として並べました。実際のホワイトボードを撮影した写真で同じ結果になるかは確かめていません。
よくある質問
ホワイトボードの画像をAIに文字起こしさせると、読めない数字を推測で埋めますか。
この検証では、埋めませんでした。灰色のしみで先頭の桁が隠れた「発注数」を、Opus 5.5とHaiku 4.5のどちらも、注意書きの有無にかかわらず、隠れた数字を作らずに返しました。ただし各条件1回の結果で、画像はHTMLで作った架空のものです。
取り消し線を引いた文字を、AIは取り消されたものとして扱いますか。
この検証では、モデルで分かれました。Opus 5.5は2回とも「赤」が線で消されていると書きました。Haiku 4.5は2回とも、線に触れず「赤」を色の項目の値として並べました。依頼文に「読めない文字は推測で埋めず」などの注意書きを足しても、Haiku 4.5の結果は変わりませんでした。
矢印や丸囲みの意味を、AIは勝手に足しますか。
この検証では、画像に書かれていない意味をはっきり書き足した回答はありませんでした。黒い矢印(試作B→色見本を確認)の向きは4回とも正しく返しました。ただしHaiku 4.5の依頼文のみの回答には、2つの誤りがありました。黒い矢印に「フロー図」という見出しを付けたこと、そして赤い矢印と「?」を「色」の行に付けたことです(赤い矢印は実際は「価格 480円」の右から出ています)。意味が書かれていない赤い矢印と「?」について、Opus 5.5は何への疑問かは画像だけでは決められないと書き添えました。
このホワイトボードは実在の会議のものですか。
いいえ。会議名・氏名・日付・数値はすべて当社が作成した架空のデータです。また画像はホワイトボードを撮影した写真ではなく、手書き風のフォントでHTMLから作った画像です。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月1日に行いました。検証の進め方は実測の進め方、方針は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。