求人票の文面をAIで作る方法
給与・勤務時間・休日などの条件の取り違えをOpus 5.5とHaiku 4.5で実測・プロンプト
求人票は、給与、勤務時間、休日などの条件を応募者に伝える文書です。「この金額には固定残業代が含まれる」「試用期間中は給与が違う」のような条件が1つ抜けたり、金額が入れ替わったりすると、応募者の誤解につながります。このページでは、そうした条件を入れた架空の条件メモをAIに渡して、作らせた求人票の文面を正解表で採点しました。担当替えのときに渡す書類は業務の引き継ぎ書をAIで作る方法、作業の手順を伝える書類は業務マニュアル・手順書をAIで作る方法にまとめています。
賃金欄を最低賃金と照らす手順
賃金欄を抜き出したあとは、法定の下限である地域別最低賃金と照らします。最低賃金法第4条は、最低賃金額に達しない賃金を定めた労働契約はその部分が無効になり、最低賃金と同じ定めをしたものとみなすと定めています(e-Gov法令検索で確認、2026年10月15日)。
- 働く場所の都道府県の額と発効日を、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」で確かめる。令和8年度は、東京が1,280円(令和8年10月1日発効)、大阪が1,231円(同日発効)、全国加重平均が1,177円です。発効日は都道府県ごとに違い、岩手・熊本は令和8年12月1日です(厚生労働省、確認日2026年10月15日)。
- 月給や日給は、時間額に換算してから比べる。最低賃金法施行規則第2条は、月給をその月の所定労働時間数(月によって違うときは年間の1か月平均)で割った額で比べると定めています。たとえば月給25万円で月の所定労働時間が160時間なら、250,000÷160=1,562.5円です(架空の計算例)。
- 比べる賃金に入れないものを除く。臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)、所定時間外・休日・深夜の割増部分は算入しません(同規則第1条)。
AIに抜き出させた賃金の数字をこの比較に使うときは、月の所定労働時間と手当の内訳が原文どおりかを、先に確かめてください。この節の額と発効日は厚生労働省の一覧から転記したもので、AIの実測ではありません。
検証の方法
営業事務の正社員を募集する、架空の条件メモを作りました(2026年10月9日に検証)。取り違えやすい条件を次のように入れています。
- 月給23万円〜28万円に、固定残業代(月20時間分、4万円)が含まれる。20時間を超えた分は別に支給する
- 試用期間は3か月で、この間の月給は21万円(固定残業代を含む)
- 在宅勤務は入社6か月後から、週1日まで
- 交通費は月3万円まで支給する(上限がある)
- 休日は土日祝と年末年始(12月29日〜1月3日)で、年間休日は120日
【求人の条件メモ(架空)】 ・職種:営業事務(正社員)。勤務地は東京都渋谷区の本社。 ・給与:月給23万円〜28万円。この金額には、固定残業代(月20時間分、4万円)が含まれる。20時間を超えた分は、別に支給する。 ・試用期間:入社から3か月。この間の月給は21万円(固定残業代を含む)。 ・勤務時間:9時から18時(休憩1時間)。 ・休日:土曜・日曜・祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)。年間休日は120日。 ・在宅勤務:入社6か月後から、週1日まで。 ・交通費:月3万円まで支給する。
頼み方は2通りです。「次の求人の条件メモから、求人サイトに載せる求人票の文面を作ってください。」とだけ頼む条件と、下のプロンプトを使う条件で、モデルとの組み合わせは4通りです。答えは渡していません。会社や金額は架空で、実在の募集ではありません。
採点は7項目です。①給与(固定残業代を含むこと、超過分は別支給)②試用期間(3か月・月給21万円)③勤務時間(9時から18時・休憩1時間)④休日(土日祝・年末年始・年間休日120日)⑤在宅勤務(6か月後から・週1日まで)⑥交通費(月3万円まで)⑦メモに無い事実・手当・福利厚生・仕事内容・宣伝文句を足さない。⑦では、メモの数字から計算した金額・時間(固定残業代を除いた金額、実働時間など)も、メモに無い事実として数えました。この数え方は採点の途中で、正解表の⑦に書き足して明確にしたものです(点数の付け方は変えていません)。
結果:4条件の採点
| 条件 | 7項目 | 6つの条件の書き方 | 書き足し |
|---|---|---|---|
| Opus 5.5・ただ頼んだだけ | 6 / 7(⑦×) | 給与・試用期間・勤務時間・休日・在宅勤務・交通費とも、メモの金額・日数のまま | 「固定残業代を除いた基本の月給:19万円〜24万円」を計算して足し、勤務時間に「実働8時間」を足した |
| Haiku 4.5・ただ頼んだだけ | 6 / 7(⑦×) | 給与・試用期間・勤務時間・休日・在宅勤務・交通費とも、金額・日数は取り違えなし。試用期間にはメモに無い固定残業代の額を添えた | 「仕事内容」の節を作り、受注・見積・請求などの事務処理と書いた。基本給の計算、試用期間の固定残業代40,000円と基本給170,000円、「別途全額支給」「(実費)」「所定労働時間:1日8時間」も足した |
| Opus 5.5・プロンプトあり | 7 / 7 | 固定残業代・試用期間・開始時期・上限は、金額の下の注記や同じ項目の中に書いた | 無し |
| Haiku 4.5・プロンプトあり | 7 / 7 | 固定残業代・試用期間・開始時期・上限は、金額の下の注記や同じ項目の中に書いた | 無し |
- 金額・時間・日数・期間の取り違えは、4条件とも無かった。固定残業代を含む給与、試用期間の月給21万円、在宅勤務が6か月後から、交通費が月3万円までという条件は、4条件とも残りました。
- 点を下げたのは、メモに無い内容や計算した数字の書き足しだった。Opus 5.5は計算した金額(基本の月給)を、Haiku 4.5は仕事内容や基本給などを足しました。計算した金額は算数の結果ですが、メモに書かれていない区分や、他の手当が入っている可能性のある金額を、求人票に出すことになります。
- プロンプトありの2条件では、書き足しが無かった。メモにある条件だけを並べました。ただし、このメモの場面を想定したルールを書いているため、一般にそうなる保証はありません。
足された例と、書き足さなかった例(回答の原文から)
次の引用は、保存した回答の原文のとおりです。
| 回答の該当箇所(原文のまま) | メモとの照合 | |
|---|---|---|
| 足された例 | 「固定残業代を除いた基本の月給:19万円〜24万円」(Opus 5.5・ただ頼んだだけ) | メモは月給23万円〜28万円に固定残業代4万円が含まれる、とだけあります。基本給の区分と金額はメモに無く、計算で作っています(⑦×)。 |
| 足された例 | 「月給 210,000円(固定残業代40,000円を含む)」「(固定残業代を除いた基本給:170,000円)」(試用期間中の給与。Haiku 4.5・ただ頼んだだけ) | メモは「月給は21万円(固定残業代を含む)」で、試用期間中の固定残業代の額は書いていません。本採用後の4万円を当てはめ、基本給を計算しています(⑦×)。 |
| 足された例 | 「営業部門の事務全般を担当します。受注・見積・請求などの事務処理と、営業担当者との社内調整が主な業務です。」(Haiku 4.5・ただ頼んだだけ) | メモに仕事内容の記載はありません。職種は「営業事務」とだけあります(⑦×)。 |
| 足された例 | 「固定残業時間(月20時間)を超えた分の残業代は、別途全額支給します。」「月額30,000円まで支給(実費)」(Haiku 4.5・ただ頼んだだけ) | メモは「20時間を超えた分は、別に支給する」「月3万円まで支給する」です。「全額」「実費」の語はメモに無い内容です(⑦×)。 |
| 書き足さなかった例 | 「※固定残業代(月20時間分、4万円)を含みます。」「※20時間を超えた残業分は、別に支給します。」(Opus 5.5・プロンプトあり) | メモの条件を、金額の下に注記として残しています。 |
| 書き足さなかった例 | 「【在宅勤務】入社6か月後から、週1日まで」(Haiku 4.5・プロンプトあり) | 開始時期と上限を、メモのまま書いています。 |
載せる前に見る点は3つです。①給与の金額に含まれるもの(固定残業代)が書かれているか ②試用期間・在宅勤務の開始時期・交通費の上限のような条件が、金額や日数と一緒に残っているか ③メモに無い仕事内容・手当・計算した金額が入っていないか。
求人票の文面を作るプロンプト(コピーして使えます)
上の検証で「プロンプトあり」の条件に使ったプロンプトと同じ文面です。
次の求人の条件メモから、求人サイトに載せる求人票の文面を作ってください。 ルール: - 給与・勤務時間・休日・在宅勤務・交通費などの条件は、メモの金額・時間・日数・期間のまま書く - 金額に含まれるもの、別に支給するもの、期間や上限などの条件が付くもの(固定残業代・試用期間・在宅勤務の開始時期・交通費の上限など)は、省かず、条件と一緒に書く - メモに無い条件・手当・福利厚生・宣伝文句は足さない [ここに求人の条件メモを貼り付け]
使うときのコツ
- 計算した金額を載せたくないときは、ルールに書く。検証では、ただ頼んだ条件で基本給の計算が足されました。「メモに無い金額は計算して足さない」と加えると防げる場合がありますが、この検証では試していません。
- 仕事内容や福利厚生は、メモに書いておく。メモに無い項目は、AIが一般的な内容で補うことがあります。載せたい内容は、メモに入れてから頼みます。
- 結果は、メモと見比べる。特に、金額、時間、日数と、条件の付いた項目を見ます。
よくある質問
条件メモから、求人票の文面をAIに作らせてよいですか?
当社の検証(架空の営業事務の条件メモ・各条件1回)では、Claude Opus 5.5・Haiku 4.5とも、固定残業代を含む給与、試用期間の給与、勤務時間、休日、在宅勤務の開始時期、交通費の上限の金額・日数を、取り違えずに書きました。ただし、ただ頼んだ2条件は、メモに無い内容や計算した数字を書き足しました。1つのメモでの結果です。載せる前に、金額・時間・日数をメモと見比べてください。実際の求人票に必要な記載事項は、この検証では確かめていません。
AIは、求人票の給与や休日の数字を取り違えますか?
この検証では、金額・時間・日数・期間の取り違えは4条件とも起きませんでした。点が分かれたのは書き足しです。ただ頼んだ条件では、メモの金額から計算した、固定残業代を除いた金額(Opus 5.5は「基本の月給」、Haiku 4.5は「基本給」)や、メモに無い仕事内容(Haiku 4.5)が加わりました。1つのメモ・各条件1回の結果のため、取り違えが起きないと言い切れるものではありません。
プロンプトにルールを書くと、求人票は良くなりますか?
この検証では、ただ頼んだ条件の点数は6 / 7(Opus 5.5)と6 / 7(Haiku 4.5)、プロンプトありは7 / 7(Opus 5.5)と7 / 7(Haiku 4.5)でした。差が出たのは書き足しの項目だけで、1つのメモ・各条件1回の結果のため、ルールの効果を保証するものではありません。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月9日に行いました。検証の作り方は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。
この記事で使ったプロンプトは、ほかの業務書類のものと並べて、業務書類のAIプロンプト集から貼り付けて使えます。
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