業務マニュアル・手順書をAIで作る方法
手順の抜け・順番・注意事項の落ちをOpus 5.5とHaiku 4.5で実測・プロンプト
手順書は、作業の順番、日付、条件、注意事項を新人に渡す書類です。担当者のメモが箇条書きのままだと、AIが整えるときに手順が抜けたり、順番が入れ替わったり、「取り消せない」のような注意が落ちたりすると、新人がそのまま従ってしまいます。このページでは、そうした場面を入れた架空の作業メモをAIに渡して、作らせた手順書を正解表で採点しました。担当替えのときに渡す書類は業務の引き継ぎ書をAIで作る方法にまとめています。
検証の方法
経理の吉田さんの月末の経費精算の締め作業を想定した、架空の作業メモを作りました(2026年10月9日に検証)。次の場面を入れています。
- 手順は、締切(25日)、照合(26日)、承認の依頼(27日まで)、振込データの送信(月末の最終営業日)、保管の5段で、この順番で進む
- 条件のある手順が3つある(金額が違えば先に差し戻す/部長が不在なら副部長が承認してよい/送信は2人で画面を見て確認してから)
- 注意事項は2つあり、メモの中ほどに箇条書きで混ざっている(1万円を超える領収書は原本が必要でコピーは不可/送信後は取り消せない)
【作業メモ(架空)】月末の経費精算の締め作業(担当:経理の吉田) ・毎月25日に、各部署から集まった領収書の提出を締め切る。 ・26日に、提出された領収書を経費精算システムの入力内容と1枚ずつ照合する。金額が違うものは、先に申請者へ差し戻す。 ・照合が終わったら、27日までに部長の承認を依頼する。部長が不在のときは、副部長が代わりに承認してよい。 ・承認が出たら、月末の最終営業日に銀行の振込データを作って送る。振込データの送信は、必ず2人で画面を見て確認してから行う。 ・注意:1万円を超える領収書は、原本が無いと精算できない。コピーは受け付けない。 ・注意:振込データの送信後は取り消せない。 ・最後に、精算した領収書をファイルにとじて、経理の棚に保管する。保管は7年間。
頼み方は2通りです。「次の作業メモから、新しく入る人向けの作業手順書を作ってください。」とだけ頼む条件と、下のプロンプトを使う条件で、モデルとの組み合わせは4通りです。答えは渡していません。メモの日付や保管の年数は架空の設定で、実際の保存期間ではありません。
採点は7項目です。①手順の抜けがない ②順番が合っている ③日付・期間がメモどおり ④条件付きの手順(差し戻し・副部長の承認・2人での確認)が残っている ⑤注意事項2つが落ちていない ⑥注意事項を別の手順に移して意味を変えていない ⑦メモに無い事実・手順・約束・指示を足さない。
結果:4条件の採点
| 条件 | 7項目 | 手順・条件・注意事項 | 書き足し |
|---|---|---|---|
| Opus 5.5・ただ頼んだだけ | 6 / 7(⑦×) | 5段の手順が順番どおり。差し戻し・副部長・2人での確認も、注意事項2つもあり | 「作業メモに書かれていないため、吉田さんに確認すること」の節を足し、5項目を並べた。照合の手順には「原本があるか確認します」、振込の手順には「確認が済んだら送信します」「省かないでください」を足した |
| Haiku 4.5・ただ頼んだだけ | 6 / 7(⑦×) | 5段の手順が順番どおり。差し戻し・副部長・2人での確認も、注意事項2つもあり | 「各部署に、領収書の提出期限が25日であることを事前に伝えておく」「締め切り後に届いた領収書は、翌月の対象として扱う」のほか、差し戻しや承認・送信の記録、振込の確認項目(振込先、金額、件数、合計額)、確認者の条件などを多数足した。末尾に「手順書に書かれていない点」の節も足した |
| Opus 5.5・プロンプトあり | 7 / 7 | 5段の手順が順番どおり。条件は同じ手順の中にあり、注意事項は最後の節に2つ | 無し |
| Haiku 4.5・プロンプトあり | 7 / 7 | 5段の手順が順番どおり。条件は同じ手順の中にあり、注意事項は最後の節に2つ | 無し |
- 手順の抜け、順番の入れ替わり、注意事項の落ちは、4条件とも無かった。5段の手順は全部あり、締切から保管までの順番も、日付も、メモどおりでした。「送信後は取り消せない」と、1万円を超える領収書は原本が必要でコピーは不可、の2つも、4条件とも書かれていました。
- 点を下げたのは、メモに無い手順や確認事項の書き足しだった。ただ頼んだ2条件は、Opus 5.5が確認事項の節と、照合・振込の手順への一言を、Haiku 4.5が記録の手順や例外の扱いを足しました。手順書として親切に見えますが、メモに無い作業を新人の手順にすると、実際の運用と違う手順が配られます。
- ルールを書くと書き足しは無くなった。プロンプトありの2条件のうち、Haiku 4.5はメモの文のまま手順に並べ、Opus 5.5は丁寧語に直して各手順に見出しを付けました。どちらも内容は足さず、注意事項を最後にまとめました。ただし、このメモの場面を想定したルールを書いているため、一般にそうなる保証はありません。
足された例と、書き足さなかった例(回答の原文から)
回答の原文から引用します。
| 回答の該当箇所(原文のまま) | メモとの照合 | |
|---|---|---|
| 足された例 | 「1万円を超える領収書は、原本があるか確認します。」(照合の手順の1項目。Opus 5.5・ただ頼んだだけ) | メモは「原本が無いと精算できない。コピーは受け付けない」という注意で、原本の有無を確かめる作業とは書いていません。作業をメモに無い形で足しています(⑦×)。 |
| 足された例 | 「25日・26日・27日が土日や祝日にあたるときの扱い」(「作業メモに書かれていないため、吉田さんに確認すること」の節の1項目。Opus 5.5・ただ頼んだだけ) | メモに土日や祝日の扱いはありません。「メモに無いので確認する」と断ってありますが、メモに無い項目を手順書に並べています。同じ節の5項目はいずれもメモに無い内容です。 |
| 足された例 | 「締め切り後に届いた領収書は、翌月の対象として扱う(扱いを変える場合は事前に決めておく)。」(Haiku 4.5・ただ頼んだだけ) | メモに、締切後に届いた領収書の扱いはありません。メモに無いルールを手順として書いています(⑦×)。 |
| 足された例 | 「確認者は、作成者とは別の人が務める。」(Haiku 4.5・ただ頼んだだけ) | メモにあるのは「必ず2人で画面を見て確認してから行う」までです。確認する人の条件はメモに無い内容です(⑦×)。 |
| 書き足さなかった例 | 「金額が違うものは、先に申請者へ差し戻します。」「部長が不在のときは、副部長が代わりに承認してかまいません。」(Opus 5.5・プロンプトあり) | メモの条件を省かず、同じ手順の中に書いています。 |
| 書き足さなかった例 | 「振込データの送信後は取り消せない。」(注意事項の節。Haiku 4.5・プロンプトあり) | メモの注意を、そのまま最後の節に残しています。 |
落ちの種類ごとの件数と、人が直すときのチェックリスト
保存した回答の原文4つを、落ちの種類ごとに数え直した表です(分母は各種類とも4回)。
| 落ち・ずれの種類 | 該当した回答 | どの採点項目か |
|---|---|---|
| 手順そのものが抜けた | 0 / 4 | ① |
| 順番が入れ替わった | 0 / 4 | ② |
| 日付・期間が変わった | 0 / 4 | ③ |
| 条件(差し戻し・副部長の承認・2人での確認)が落ちた | 0 / 4 | ④ |
| 注意事項が落ちた、または別の手順に移って意味が変わった | 0 / 4 | ⑤⑥ |
| メモに無い手順・確認事項が足された | 2 / 4(ただ頼んだ2条件。プロンプトありの2条件は0) | ⑦ |
この検証で起きた間違いは、書き足しだけでした。ただし、メモは5段の短いものを1つ使っただけです。手順の抜けや順番の入れ替わりが無かったのは、このメモでの結果で、長い手順書でも起きないという意味ではありません。そのため、次のチェックリストは落ちの種類をすべて含めています。
- 手順の数:メモの手順の数と、手順書の番号の数が同じか。
- 順番:締切から保管まで、メモの順に並んでいるか。
- 日付・期間:「25日」「27日まで」「7年間」のような数字が、メモのままか。
- 条件:「〜のときは〜」が、元の手順の中に残っているか。
- 注意事項:メモの注意を1つずつ探し、最後の節にあるか。意味が変わる手順に移されていないか。
- 書き足し:手順の中や末尾の節に、メモに無い作業・確認事項・ルールが入っていないか。入っていたら削るか、AIの提案として別に分ける。
渡す前に見る点は3つに絞るなら、①手順の数と順番がメモと合っているか ②「〜のとき」の条件と注意事項が、メモより減っていないか ③手順の中や末尾の節に、メモに無い作業や確認事項が入っていないか。
手順書を作るプロンプト(コピーして使えます)
上の検証で「プロンプトあり」の条件に使ったプロンプトと同じ文面です。
次の作業メモから、新しく入る人向けの作業手順書を作ってください。 ルール: - 手順は番号を付け、メモの順番どおりに並べる。日付や期間はメモのまま書く - 「〜のときは〜」のような条件のある手順は、条件を省かず、同じ手順の中に書く - メモにある注意事項は1つも落とさず、手順書の最後に「注意事項」としてまとめる - メモに無い事実・手順・約束・指示は足さない [ここに作業メモを貼り付け]
使うときのコツ
- 注意事項は、手順の外にまとめさせる。メモの中に混ざった注意は、最後の節に集めさせると、メモと見比べて確かめやすくなります。
- 「確認事項」を足させたくないときは、ルールに書く。検証では、ただ頼んだ条件で、確認事項の節(Opus 5.5・Haiku 4.5とも)や記録の手順(Haiku 4.5)が足されました。足したい場合は、手順書とは別に、AIの提案として出させると、メモの内容と混ざりません。
- 結果は、メモと見比べる。特に、手順の数、日付、条件、注意事項を見ます。
よくある質問
作業メモから、手順書をAIに作らせてよいですか?
当社の検証(架空の経費精算のメモ・各条件1回)では、Claude Opus 5.5・Haiku 4.5とも、5段の手順を抜かさず、順番どおりに並べ、2つの注意事項も落としませんでした。ただし、ただ頼んだ2条件は、メモに無い手順や確認事項を書き足しました。1つのメモでの結果です。渡す前に、手順の数と順番、注意事項をメモと見比べてください。
AIは、手順書で注意事項を落としたり、手順の順番を入れ替えたりしますか?
この検証では、手順の抜けも、順番の入れ替わりも、注意事項の落ちも、4条件とも起きませんでした。点が分かれたのは、メモに無い手順や確認事項の書き足しです(ただ頼んだ条件はOpus 5.5もHaiku 4.5も×)。1つのメモ・各条件1回の結果のため、起きないと言い切れるものではありません。
プロンプトにルールを書くと、手順書は良くなりますか?
この検証では、ただ頼んだ条件の点数は6 / 7(Opus 5.5)と6 / 7(Haiku 4.5)、プロンプトありは7 / 7(Opus 5.5)と7 / 7(Haiku 4.5)でした。差が出たのは書き足しの項目だけで、1つのメモ・各条件1回の結果のため、ルールの効果を保証するものではありません。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月9日に行いました。検証の作り方は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。
この記事で使ったプロンプトは、ほかの業務書類のものと並べて、業務書類のAIプロンプト集から貼り付けて使えます。
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