業務の引き継ぎ書をAIで作る方法
進行中の案件・期限・連絡先の抜けと書き足しをOpus 5.5とHaiku 4.5で実測・プロンプト
担当替えの引き継ぎ書は、進行中の案件、期限、先方の連絡先をまとめて後任に渡す書類です。メモが箇条書きのままだと、済んだ案件が混ざったり、連絡先が無い相手に電話番号が書かれたりすると、後任がそのまま信じてしまいます。このページでは、そうした場面を入れた架空の担当替えのメモをAIに渡して、作らせた引き継ぎ書を正解表で採点しました。異動の挨拶メールの書き方は異動の挨拶メールの書き方と例文にまとめています。
検証の方法
田中さんから森さんへの担当替えを想定した、架空のメモを作りました(2026年10月9日に検証)。6社の案件を入れ、次の場面を作っています。
- 森さんが引き継ぐ進行中の案件は4件(A社・B社・C社・E社)
- D社は納品が済んでいて、対応が要らない
- F社のクレーム対応は、課長が引き継ぐので森さんの担当ではない
- B社は先方の返事待ちで、いつ返事が来るか分からない。先方の連絡先はメモに無い(田中さんが名刺を持っている)
- C社は入金待ちで、入金予定は11月末。先方の連絡先はメモに無い
【担当替えのメモ(架空)】 前任:田中、後任:森 引き継ぎ日:2026年10月30日(金)。田中はこの日で営業企画部へ異動する。 ・A社 年間保守契約の更新。11月20日までに更新の見積もりを出す。先方の担当は山本さん(電話 03-5555-0101、メール yamamoto@a-sha.example)。 ・B社 新規提案。9月末に提案書を送った。先方の返事待ちで、いつ返事が来るかは分からない。先方の担当は伊藤さん。連絡先は田中が名刺を持っている。 ・C社 研修の請求書は10月5日に発行済み。入金待ち。入金予定は11月末。 ・D社 納品は10月23日に済んだ。もう対応は要らない。 ・E社 毎月25日に月次レポートを送る。次回は11月25日。送り先は先方の鈴木さん(メール suzuki@e-sha.example)。 ・F社 クレーム対応。課長の佐々木さんに相談済みで、対応は課長が引き継ぐ。
頼み方は2通りです。「次の担当替えのメモから、後任の森さんに渡す引き継ぎ書を作ってください。」とだけ頼む条件と、下のプロンプトを使う条件で、モデルとの組み合わせは4通りです。答えは渡していません。
採点は7項目です。①進行中の4件がすべてあり、ほかの案件を進行中として作らない ②D社を対応が要る案件にしない ③F社を森さんの担当にしない ④期限がメモどおりで、メモに無い期限を作らない ⑤連絡先がメモどおりで、B社の伊藤さんの電話やメールを作らない ⑥人名と日付(引き継ぎ日・請求書の発行日・納品日)の取り違えがない ⑦メモに無い事実・約束・指示(確認事項や次にやること)を足さない。④の期限は、案件ごとの期限の欄で見ます。
結果:4条件の採点
| 条件 | 7項目 | 進行中の案件と連絡先 | 書き足し |
|---|---|---|---|
| Opus 5.5・ただ頼んだだけ | 6 / 7(⑦×) | 4件とも書き、A社・E社の連絡先はメモどおり。B社は「田中が名刺を持っている」 | 「3. 10月30日までに田中に確かめること」の節を足し、請求額や資料の置き場所など5項目を並べた。B社の名刺の受け取りにも「10月30日まで」の期限を付けた |
| Haiku 4.5・ただ頼んだだけ | 5 / 7(③⑦×) | 4件とも書き、A社・E社の連絡先はメモどおり。B社は「田中が名刺を持っている」 | F社の「森さんは経緯を確認する」、C社の「入らない場合は先方に状況を聞く」、カレンダーへの登録を足した。B社の名刺の受け取りにも「10月30日まで」の期限を付けた |
| Opus 5.5・プロンプトあり | 7 / 7 | 進行中の表は4件。B社・C社の「期限」は「メモに記載なし」、B社の電話・メールも「メモに記載なし」 | 無し。D社・F社は表の外に1行ずつ書いた |
| Haiku 4.5・プロンプトあり | 6 / 7(⑦×) | 進行中の表は4件。B社の連絡先は「メモに記載なし。田中が名刺を所持」 | 末尾に「次の一手」の節を足し、A社の山本さんへ最初の連絡を取るよう書いた |
- 進行中の案件の抜けと、メモに無い連絡先は、4条件とも無かった。4件の案件が全部あり、B社の伊藤さんの電話やメールを作った条件はありませんでした。A社の山本さんの電話番号とメール、E社の鈴木さんのメールもメモのとおりでした。
- 点を下げたのは、メモに無い「やること」の書き足しだった。ただ頼んだ2条件は、確認事項や登録の手順を足しました。Haiku 4.5のただ頼んだ条件では、課長が引き継ぐF社について「森さんは経緯を確認する」と書き、森さんのやることにしたため③も×としました。
- ルールを書くと書き足しは減ったが、無くなったわけではない。プロンプトありのHaiku 4.5は、表は正しく書いた一方で、末尾に「次の一手」を足しました。
足された例と、書き足さなかった例(回答の原文から)
次の引用は、保存した回答の原文のとおりです。
| 回答の該当箇所(原文のまま) | メモとの照合 | |
|---|---|---|
| 足された例 | 「森さんは直接対応せず、経緯と現状を佐々木課長から確認する。」(F社。Haiku 4.5・ただ頼んだだけ) | メモには「対応は課長が引き継ぐ」とだけあります。森さんに経緯を確認させる指示は、メモに無い内容です(③⑦×)。 |
| 足された例 | 「次の一手」「田中さんからB社の伊藤さんの連絡先(名刺)を受け取り、A社の見積もり期限(11月20日)に向けて山本さんと最初の連絡を取ってください。」(Haiku 4.5・プロンプトあり) | 表の期限と連絡先はメモのとおりですが、最初の連絡を取るという指示はメモに無く、プロンプトの「メモに無い事実・約束・評価は足さない」の範囲の外に出た節です。 |
| 書き足さなかった例 | 「伊藤さん。連絡先は田中が名刺を持っている(電話・メールはメモに記載なし)」(B社。Opus 5.5・プロンプトあり) | メモの「連絡先は田中が名刺を持っている」だけを書き、電話やメールを作っていません。 |
渡す前に見る点は3つです。①進行中の案件の数がメモと合っているか ②連絡先と期限の欄に、メモに無い数字が入っていないか ③表の外の節(確認事項・次にやること)に、メモに無い指示が入っていないか。
引き継ぎ書を作るプロンプト(コピーして使えます)
上の検証で「プロンプトあり」の条件に使ったプロンプトと同じ文面です。
次の担当替えのメモから、後任の森さんに渡す引き継ぎ書を作ってください。 ルール: - 森さんが引き継ぐ進行中の案件ごとに、相手・やること・期限・先方の連絡先を表にする - 対応が済んだ案件と、他の人が引き継ぐ案件は、進行中の表に入れず、別に一行で書く - 期限と連絡先はメモどおりに書く。メモに無いものは作らず、「メモに記載なし」と書く - メモに無い事実・約束・評価は足さない [ここに担当替えのメモを貼り付け]
使うときのコツ
- 表の外に書かせたくないことは、ルールに書く。検証では、表の内容がメモどおりでも、末尾に「次の一手」が足された条件がありました。「表のほかに節を足さない」と加えると防げる場合がありますが、この検証では試していません。
- 連絡先がメモに無い相手は、「メモに記載なし」と書かせる。検証では、ただ頼んだ条件でも電話やメールは作られませんでしたが、渡す前の確認は必要です。
- 結果は、メモと見比べる。特に、期限と連絡先の欄と、表の外の節を見ます。
よくある質問
担当替えのメモから、引き継ぎ書をAIに作らせてよいですか?
当社の検証(架空の担当替えのメモ・各条件1回)では、Claude Opus 5.5・Haiku 4.5とも、進行中の4件の案件を落とさず、A社の山本さん・E社の鈴木さんの連絡先をメモどおりに書きました。連絡先がメモに無いB社の伊藤さんの電話やメールを作った条件はありませんでした。ただし1つのメモでの結果です。渡す前に、案件の数と連絡先をメモと見比べてください。
AIは、メモに無い期限や連絡先を書き足しますか?
この検証では、メモに無い連絡先を作った条件も、案件の期限をメモと違えた条件もありませんでした。ただし、ただ頼んだ2条件は、B社の名刺の受け取りに「10月30日まで」の期限を付けました(引き継ぎ日はメモにあるため、期限の採点では数えていません)。また、メモに無い「確認事項」や指示が書き足されました(Opus 5.5は田中に確かめる5項目の節、Haiku 4.5は森さんがカレンダーに登録することなど)。プロンプトありのHaiku 4.5でも、末尾に「次の一手」が足されました。
プロンプトにルールを書くと、結果は良くなりますか?
この検証では、ただ頼んだ条件の点数は6 / 7(Opus 5.5)と5 / 7(Haiku 4.5)、プロンプトありは7 / 7(Opus 5.5)と6 / 7(Haiku 4.5)でした。差が出たのは書き足しの項目で、1つのメモ・各条件1回の結果のため、ルールの効果を保証するものではありません。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月9日に行いました。検証の作り方は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。
この記事で使ったプロンプトは、ほかの業務書類のものと並べて、業務書類のAIプロンプト集から貼り付けて使えます。
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