書き方と実測

ビジネスメールを韓国語に訳すAIの精度

日付・金額・人名・依頼の内容が訳で保たれるかの実測・プロンプト

結論(先に)ビジネスメールをAIで韓国語に訳させるときは、数字や日付より、人名と、依頼の中の一語が正しく訳されているかに注意が要ります。部品の納品遅れを詫びるメール(架空)をAIに訳させた当社の検証(各条件1回)では、Opus 5.5・Haiku 4.5の4条件すべてで、発注番号・金額(税込)・3つの日付と曜日が原文どおりに残りました。崩れたのはHaiku 4.5の2条件で、「受入担当者」を輸入担当にも読める「수입 담당자」と訳して依頼の意味が揺れ、ただ頼んだ条件では人名「長谷川」の読みも誤りました(「하세가와」ではなく「나가세가와」)。

日本語のビジネスメールを韓国語で送る場面では、訳の自然さを自分で確かめにくいため、「数字・日付・人名・依頼の中身だけは崩れていないか」を、日本語の原文と並べて見る方法が役に立ちます。このページでは、日本語のメールを韓国語にAIで訳させたときに、何が保たれて何が崩れたかを、日本語の原文と照らして確かめられる項目に絞って紹介します。韓国語の文の自然さや敬語の細かな使い分けは、当社では評価していません。

AIでビジネスメールを韓国語に訳させたときの実測

部品の納品遅れを詫び、新しい納品日を相談する仕入先のメール(件名・宛名・発注番号・数量・金額・日付3つ・依頼2点・含みのある一文を入れた架空のもの)を、答えを知らない状態のClaude(Opus 5.5/軽くて速いHaiku 4.5)に、「次の日本語のビジネスメールを、韓国語に翻訳してください。」とだけ頼む条件と、下の韓国語訳のプロンプトを使う条件の4通りで、1回ずつ訳させました(2026年10月3日)。

件名:ご注文品の納品遅れのお詫びと新しい納品日のご相談(発注番号 PO-4471)

朝日ハイテック株式会社
資材部 長谷川様

平素より大変お世話になっております。カワセ精工の松井でございます。

このたびは、ご注文いただきました部品(発注番号 PO-4471、240個、合計 372,000円・税込)の納品が遅れておりますこと、心よりお詫び申し上げます。

当初お約束しておりました10月8日(木)の納品が、材料の入荷遅れにより難しい状況です。新しい納品日は10月22日(木)を予定しております。

つきましては、大変恐縮ですが、次の2点をお願いできませんでしょうか。

・新しい納品日でご都合が悪い場合は、10月12日(月)までにご連絡ください。
・納品時に、貴社の受入担当の方のお名前を教えてください。

なお、ご希望がございましたら、一部のみ先に納品する方法につきましても、できる限り善処いたします。

ご迷惑をおかけし、重ねてお詫び申し上げます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

カワセ精工株式会社
営業部 松井

採点は、原文と訳を並べて照合できる項目だけです。①発注番号 PO-4471 を残す ②数量240個と金額 372,000円(税込)を、桁と税込のまま残す ③日付3つ(当初の納品日10月8日(木)、新しい納品日10月22日(木)、連絡の期限10月12日(月))の日付・曜日・役割を保つ ④依頼の2点(新しい納品日で都合が悪ければ10月12日までに連絡、納品時に受入担当者の名前を教える)を残す ⑤社名・部署・人名を原文のまま、またはハングルの音訳で保つ(別の名前になると×) ⑥お詫びと依頼が丁寧な表現のままである ⑦「できる限り善処いたします」の含みへの対応(プロンプトありの条件だけ採点) ⑧原文に無い約束・数字・補償を足さない。ただ頼んだだけの条件は⑦を採点しないため7項目、プロンプトありは8項目です。

条件得点訳の出方(原文の引用)書き足し・備考
Opus 5.5・プロンプトあり8 / 8発注番号 PO-4471、「372,000円·세금 포함」、「10월 8일(목)」「10월 22일(목)」「10월 12일(월)」が原文どおり。社名・人名は「朝日ハイテック株式会社」「長谷川」「カワセ精工」「松井」と日本語のままなし。「善処」の一覧は2通りの訳を並べ、本文は(b)の「최대한 검토하겠습니다」にしたと注記(備考:原文に無い「難しい状況」の行も一覧に足した)
Haiku 4.5・プロンプトあり7 / 8番号・金額・日付・曜日は原文どおり。社名・人名はハングルの音訳(「아사히 하이테크」「하세가와」「카와세 정공」「마츠이」)。一方「受入担当」は「수입담당자분」と訳し、輸入担当にも読める語になった(項目④を×)なし。「善処」の一覧は2通り。「納品」を「납기」と訳した箇所が複数ある(「일부를 먼저 납기하는 방법」など)
Opus 5.5・ただ頼んだだけ7 / 7番号・金額(「372,000엔·세금 포함」)・日付・曜日は原文どおり。社名・人名はハングルの音訳(「아사히 하이테크」「하세가와」「가와세 정공」「마쓰이」)。「受入担当」は「입고 담당자분」なし。「善処」は「최대한 검토하여 대응하겠습니다」と、検討する意味の訳になった
Haiku 4.5・ただ頼んだだけ5 / 7番号・金額・日付・曜日は原文どおり。「長谷川様」を「나가세가와 님」と訳した(項目⑤を×)。「受入担当」は「수입 담당자분」で、輸入担当にも読める語(項目④を×)なし。「善処」は「최선을 다해 처리하겠습니다」と、対応を約束するように読める訳になった
  • 数字と日付は4条件とも崩れなかった。発注番号、数量、金額と税込、3つの日付と曜日(木・月)は、4条件すべてで原文と合っていました。お詫びと依頼も、4条件とも「〜습니다」「〜주시기 바랍니다」といった丁寧な言い方で、命令調にはなりませんでした。
  • 崩れたのは「受入担当」と人名。Haiku 4.5は、2条件とも「受入担当の方のお名前」を「수입 담당자분」「수입담당자분」と訳しました。「수입」は輸入や収入にも読める語で、納品先の受け入れの担当者という依頼の意味が伝わりにくくなります。Opus 5.5は「입고 담당자분」(入庫の担当者)としました。さらにHaiku 4.5のただ頼んだだけの条件は、宛名の「長谷川様」を「나가세가와 님」としました。「하세가와」と読む名前なので、読みを取り違えた表記です。
  • 社名・人名の書き方は、プロンプトで大きく変わった。プロンプトに「固有名詞は原文どおりに残す」と書くと、Opus 5.5は「朝日ハイテック株式会社」「자재부 長谷川 님」のように、日本語の文字を韓国語の文の中に残しました。数字と同じく間違いは無い一方で、そのまま送ると韓国語の文に日本語の文字が混ざった見た目になります。Haiku 4.5はプロンプトありでもハングルの音訳にしました。「原文どおり」の指示は、文字のまま残すのか、音訳でよいのかまで書かないと、モデルによって解釈が分かれます。
  • 含みのある一文は、訳し方で約束の強さが変わった。「できる限り善処いたします」(一部だけ先に納品する方法について)は、Opus 5.5のただ頼んだだけの条件では「최대한 검토하여 대응하겠습니다」と検討する意味、Haiku 4.5のただ頼んだだけの条件では「최선을 다해 처리하겠습니다」と、処理して対応するように読める訳でした。プロンプトありの2条件は、訳文とは別に、(a)本当に応じる場合と(b)努力はするが確約ではない場合の2通りを一覧にしました。Opus 5.5は「分納を約束する場合は(a)に差し替えてください」と書き添えました。
  • 備考。Opus 5.5のプロンプトありは、一覧に、原文の「難しい状況です」の行(間に合わないと確定している場合と、まだ可能性がある場合の2通り)を自分で足しました。日本語の「難しい」は実際にはできない意味で使われやすい、という説明がついていて参考になりますが、頼んでいない注記なので、送る文面には入れません。また、一覧の(b)の1文に日本語の「日」の字が混ざったまま出力し、同じ回答の末尾で自分で訂正しました。Haiku 4.5のプロンプトありは、「納品」を「납기」(納期)と訳した箇所が複数あり、「일부를 먼저 납기하는 방법」のように、納期を先に出す、とも読める文になっています(採点は変えていません)。

英語に訳す場合の実測はビジネスメールをAIで英訳したときの実測、中国語に訳す場合はビジネスメールを中国語に訳すAIの精度にまとめています。中国語訳ではカタカナの社名に漢字が当てられるかどうかが論点でしたが、韓国語訳では、ハングルの音訳での人名の読みと、依頼の中の一語の訳し分けが論点として出ました。

落ちた箇所の悪い例と直した例

項目④と⑤で×になった箇所を、同じ原文の同じ箇所で並べます。回答の原文からそのまま引いています。

箇所悪い例直した例
人名「長谷川」(Haiku 4.5)ただ頼んだ条件:「자재부 나가세가와 님께」(読みを誤った)プロンプトを使った条件:「자재부 하세가와님」
「受入担当」(Haiku 4.5)ただ頼んだ条件:「귀사의 수입 담당자분」(수입は輸入・収入にも読める語)Opus 5.5 の両条件:「귀사 입고 담당자분」。Haiku 4.5はプロンプトを使っても「수입담당자분」で直らなかった

人名の読みはプロンプトを使った回で直りましたが、「受入担当」の訳は直りませんでした。各条件1回の結果で、プロンプトの効果と言い切れる数ではありません。人名の読みと、担当の名称の意味は、送る前に確かめてください。

この検証の範囲:1通の架空のメールで、各条件1回ずつの結果です。同じ条件で繰り返すと結果が変わることがあり、精度を保証する数字ではありません。韓国語としての自然さ・敬語の細かな使い分けは評価していません(採点者が評価できる範囲を、日本語と照合できる数字・固有名詞・依頼の有無に限りました)。ChatGPT・Gemini・Sonnetでは試していません。

ビジネスメール韓国語訳のプロンプト(コピーして使えます)

上の検証で「プロンプトあり」に使ったものと同じです。英訳のプロンプトに、発注番号・金額・日付を原文どおり残す指示を足しています。

次の日本語のビジネスメールを、取引先に送る韓国語のメールに翻訳してください。

ルール:
- 「平素よりお世話になっております」などの決まったあいさつは、直訳せず韓国語のビジネスメールで自然な表現にする
- 省略された主語(私/当社)を補う
- 「善処します」「検討させていただきます」のように、日本語では含みを持つ表現があれば、訳文とは別に一覧にし、(a) 本当に応じる場合の訳 (b) 努力はするが確約ではない意味合いの場合の訳 を並べる
- 固有名詞・製品名・発注番号・金額・日付は原文どおりに残す

[ここにメール本文を貼り付け]

使うときのコツ

  • 社名・人名は、文字のまま残すかハングルの音訳にするかを先に決めて渡す。検証では「原文どおり」とだけ書くと、モデルによって日本語の文字のまま残る場合と音訳になる場合に分かれました。人名の読みはAIが取り違えることがあるため、取引先の担当者名は、読み方を依頼文に書いておきます。
  • 「受入担当」のような、業務で決まった意味を持つ語は、訳を指定する。検証では、Haiku 4.5が輸入にも読める語にしました。取引先が普段使う韓国語の呼び方があれば、依頼文に書きます。
  • 日付・金額・番号は、訳を原文と並べて照合する。検証では崩れませんでしたが、1通の結果なので、送る前の確認は省けません。
  • 含みのある表現は、自分の意図を先に伝える。「善処する」が約束なのか努力目標なのかを依頼文に1行書くか、一覧で選び直します。
  • 韓国語としての自然さは、読める人に任せる。このページの検証は、そこを見ていません。

よくある質問

AIでビジネスメールを韓国語に訳すと、金額や日付は崩れませんか?

当社の検証(1通の架空のメールで各条件1回)では、Claude Opus 5.5・Haiku 4.5の4条件とも、発注番号・金額(税込)・3つの日付と曜日は原文どおりでした。崩れたのは依頼の中の一語(受入担当を輸入にも読める語に訳した)と人名の読みで、Haiku 4.5に出ました。結果は繰り返すと変わることがあるため、送る前に原文と並べて確かめます。

韓国語訳で日本語の人名・社名を正しく残すには、どう頼めばよいですか?

依頼文に「固有名詞は原文どおりに残す」と書くと、当社の検証ではOpus 5.5は日本語の文字のまま、Haiku 4.5はハングルの音訳にしました。文字のまま残すのか音訳にするのか、人名の読み方はどうかまで依頼文に書いておくと、解釈が分かれにくくなります。

AIの韓国語訳で、実際に崩れたのはどんな箇所でしたか?

当社の検証(架空のメール1通、各条件1回)では、番号・金額・日付・曜日は崩れず、崩れたのは人名の読みと担当の名称でした。Haiku 4.5のただ頼んだ条件は「長谷川様」を「나가세가와 님」と訳し、「受入担当」を輸入・収入にも読める「수입 담당자분」と訳しました。人名はプロンプトを使った条件で直り、担当の名称はHaiku 4.5では直りませんでした。

このページについて
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月3日に行いました。検証の進め方は実測の進め方、方針は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。

この記事で使ったプロンプトは、ほかの業務書類のものと並べて、業務書類のAIプロンプト集から貼り付けて使えます。

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