ビジネスメールのAI翻訳5本の比較
英訳・中国語・韓国語・ベトナム語・和訳の実測で、落ちた項目と条件ごとの差
当社はこれまでに、日本語のビジネスメールを英語・中国語・韓国語・ベトナム語に訳す検証を4本、英文のメールを日本語に訳す検証を1本行いました。どれも、答えを知らない状態のClaude Opus 5.5とClaude Haiku 4.5に、「ただ頼む」「ルールを書いたプロンプトで頼む」の2通りで訳させ、日本語・英語の原文と照らして採点しています。このページは新しい実測ではなく、5本の採点表を言語をまたいで1枚に並べたものです。
5本の結果(各条件1回)
採点の項目は、番号・金額・日付・依頼の中身・社名や人名・書き足しの有無などで、言語ごとのサンプルに合わせて7〜8項目です。表の「×が付いた条件」は、4条件(モデル2×依頼の仕方2)のうち、1項目以上×が付いた条件の数です。
| 記事 | サンプル(架空) | 採点項目 | ×が付いた条件 | ×の内容 |
|---|---|---|---|---|
| 日本語→英語 | 在庫管理システムの導入を検討する取引先宛て(来期の予算待ち・確認2点・今月中の期限) | 7項目 | なし | ×は付かなかった。Haiku 4.5・ただ頼んだ条件は、社名「ミナト商会」を Minato Shoji と訳した(採点外) |
| 日本語→中国語 | 見積書の再提出を頼む購買担当のメール(見積番号・金額・期限2つ) | 8項目 | 3条件 | 社名・部署・人名:カタカナの社名に原文に無い漢字を当てた(Opus・ただ頼んだ、Haiku・ただ頼んだ、Haiku・プロンプトあり) |
| 日本語→韓国語 | 部品の納品遅れを詫び、新しい納品日を相談する仕入先のメール | 8項目 | 2条件 | 依頼の中身:「受入担当」を輸入・収入にも読める語で訳した(Haiku の2条件)/人名:「長谷川様」を別の読みで音訳(Haiku・ただ頼んだ) |
| 日本語→ベトナム語 | 製品研修の日程変更と、参加人数・参加者名の連絡を頼むメール | 8項目 | 2条件 | 書き足し:キャンセル料の訳に原文に無い一文を足した(Opus・プロンプトあり)/社名:英語に訳した(Haiku・プロンプトあり) |
| 英語→日本語 | 請求書の誤りを知らせ、元の請求書を支払わないよう頼む米国の取引先のメール | 8項目 | 2条件 | 日付の項目:預り金(デポジット)を受け取った側を宛先の人に入れ替えた(Haiku・ただ頼んだ)/書き足し:原文に無い依頼を一覧に足した(Haiku・プロンプトあり) |
落ちた項目の種類(×は9条件・計10件)
- 社名・人名の表記:5件(中国語3、韓国語1、ベトナム語1)。原文がカタカナの社名に漢字を当てる、人名を別の読みで音訳する、社名を英語に訳す、といった崩れです。番号や金額と違い、原文だけでは正解が1つに決まらないため、訳す側が選んでしまう部分です。
- 依頼の中身を表す語の訳し分け:2件(韓国語、Haikuの2条件)。「受入担当」を、輸入・収入にも読める語で訳しました。
- 原文に無い一文の書き足し:2件(ベトナム語のOpus、和訳のHaiku)。前者はキャンセル料の訳に「後でお知らせします」を足し、後者は依頼の一覧に原文に無い支払いの依頼を足しました。
- 誰が何をしたかの入れ替え:1件(和訳のHaiku)。預り金(デポジット)を受け取ったのは送り手の会社なのに、受け取った側を宛先の人にしました。日付と金額は合っていました。
番号・金額・日付そのものを書き違えた条件は、5本20条件の中にありませんでした。数字より、固有名詞と、文の主語や依頼の向きを確かめる方が大事だと読めます。
種類ごとの悪い例
回答の原文からそのまま引いた例です。各記事に、同じ箇所の直った例も並べています。
| 種類 | 悪い例(言語・モデル・条件) |
|---|---|
| 社名の表記 | 中国語・Opus 5.5・ただ頼んだ:「我是水之轮商事的田边」(原文はカタカナの「ミズノワ商事」) |
| 人名の読み | 韓国語・Haiku 4.5・ただ頼んだ:「자재부 나가세가와 님께」(原文は長谷川) |
| 依頼の中身を表す語 | 韓国語・Haiku 4.5・ただ頼んだ:「귀사의 수입 담당자분」(受入担当) |
| 原文に無い一文の書き足し | ベトナム語・Opus 5.5・プロンプトあり:「sẽ thông báo lại cho Ông sau」(後でお知らせします) |
| 誰が何をしたかの入れ替え | 和訳・Haiku 4.5・ただ頼んだ:「9月24日にお受け取りいただいた40%のデポジット」(受け取ったのは送り手の会社) |
プロンプトとモデルで差は出たか
- プロンプトありの10条件のうち×が付いたのは5、ただ頼んだ10条件のうち4。プロンプトで×が減るとは言えない結果でした。プロンプトありは含みのある一文の項目も採点するため、採点項目が1つ多い点にも注意してください。
- 含みのある表現・約束の強さの項目は、プロンプトありの10条件すべてで○。英訳・中国語・韓国語・ベトナム語は「本当に前向き」と「保留の余地あり」のような2通りの訳を示させ、和訳は原文の強さのまま訳した一覧を示させる指示で、どれも守られました。ただ頼んだ条件ではこの項目を採点していません。
- ×が付いた9条件のうち、Opus 5.5は2条件、Haiku 4.5は7条件。どちらのモデルも5本で各2条件、計10条件ずつ訳させた中での数です。各条件1回のため、モデルの優劣としては断定できません。
訳させるときの確認点
- 社名・人名は、訳文を原文と並べて1つずつ見る。カタカナの社名や、読みが複数ある人名は、訳す側が漢字・読み・英語を選んでしまいます。訳させる前に、表記をこちらで指定する方法もあります。
- 依頼の中身を表す業務用語は、訳語を確認する。「受入担当」のように、辞書の訳が複数ある語は取り違えが起きました。
- 「だれが・何を・いつ」を入れ替えていないかを見る。日付や金額が合っていても、主語が入れ替わることがあります。
- 原文に無い一文が混ざっていないか、一覧や注記の部分も読む。本文は正しくても、補助の一覧に足されることがありました。
- 含みのある一文は、強さの違う2通りの訳を並べさせてから選ぶ。プロンプトありの10条件では、この種の項目がすべて○でした。
よくある質問
AIにビジネスメールを翻訳させたとき、数字や日付は間違えませんか?
当社の5本の実測(各4条件、計20回)では、採点表の番号・金額・日付の項目で×が付いたのは1回だけでした。それも日付と金額そのものは合っていて、預り金を受け取った側を宛先の人に入れ替えたものです。一方で、社名・人名・業務の用語・原文に無い一文の書き足しでは、あわせて9回×が付きました。いずれも架空のメールで、各条件1回の結果です。
翻訳の指示(プロンプト)を付けると、間違いは減りますか?
5本の結果では、×が1つでも付いた条件は、プロンプトありが10条件中5、ただ頼んだ条件が10条件中4で、はっきりした差は出ませんでした。含みのある表現や約束の強さの項目は、プロンプトありの10条件すべてで○でした(英訳・中国語・韓国語・ベトナム語は2通りの訳を示させ、和訳は原文の強さのまま訳した一覧を示させています)。ただし言語ごとにサンプルも採点項目も違い、各条件1回なので、差の大小は断定できません。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。数字はすべて、当社が2026年9月26日から10月5日に行った5本の翻訳の検証(各条件1回)の採点表によるものです。Sonnetなど他のClaudeのモデルは試していません。会社の詳細はトップページをご覧ください。
検証の進め方は実測の進め方をご覧ください。
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