書き方と実測

クレーム返信メールの書き方と例文

返金の可否が未決のクレームをAIで下書きしたときの悪い例と直し方・実測・プロンプト

結論(先に)クレームへの返信は、おわびと事実の説明に加えて、決まっていないこと(返金の可否や不具合の原因)を決まったように書かないのが要です。電気ケトルの蒸気漏れと配送の遅れのクレームメール(返金の可否は未決、原因は確認中)をAIに返信メールにさせた当社の検証(各条件1回)では、Opus 5.5は2条件とも7項目をすべて満たし、返金を約束せず、不具合の責任も認めませんでした。Haiku 4.5は、プロンプトありが7項目、ただ頼んだだけが6項目で、差はメモに無い金曜までにお客様へ返信するという約束の書き足しでした。

クレームへの返信メールは、お客様が怒っているため、早くおわびして返金を約束したくなる文書です。しかし、返金の可否や不具合の原因が社内でまだ決まっていなければ、決まっていないことを決まったように書くと、あとで取り消せません。このページでは、返信に書くことと例文に加えて、こうした未決の事項をAIがどう書いたかを確かめた結果を紹介します。

クレーム返信に書くこと

項目書くこと
宛名・発信者お客様の名前と、返信する部署・担当者
受け止めご心配・ご不便をおかけしていることへの気持ち。不具合の責任を認めるかどうかは、社内で決まった範囲だけ
事実と確認状況分かっている事実と、確認中のこと。原因が分かっていなければ、確認中と書く
対応の見通し返金・交換などの可否。決まっていなければ、誰がいつまでに決める予定かを書く
お願い写真や注文番号など、確認に必要な情報と送り先
認めるおわび社内で事実と認めた点(例:配送の遅れ)へのおわび

クレーム返信の例文(返金の可否が未決の場合)

件名:Re: 〇〇について

〇〇様

〇〇(店名)お客様対応の〇〇です。
ご連絡いただき、ありがとうございます。
〇〇について、ご心配とご不便をおかけしております。

1. 現在の確認状況
このような不具合は〇〇で確認しているところで、原因はまだ分かっておりません。

2. お願い
確認のため、〇〇の写真か動画を〇〇(送り先)までお送りください。

3. 返金・返品について
返金できるかどうかは、〇〇(担当者)が〇月〇日までに決める予定です。
返品の場合は〇〇(方法)で受け付けます。返送の方法は、返金の可否が決まってから案内します。

4. 〇〇(認める事実)について
〇〇が遅れたのは事実で、〇〇が理由です。申し訳ございませんでした。

〇〇(店名)
お客様対応 〇〇

AIでクレーム返信を下書きしたときの実測

電気ケトルの蒸気漏れと配送の遅れについて、架空のクレームメールと社内メモを用意しました。これを、答えを知らない状態のClaude(Opus 5.5/軽くて速いHaiku 4.5)に渡し、1回ずつ返信メールを作らせました(2026年10月1日)。条件は4通りです。「次のお客様のメールと社内メモをもとに、返信メールを作ってください。」とだけ頼む条件と、下のクレーム返信のプロンプトを使う条件を、2つのモデルで試しています。メモに入れた内容は次の4点です。蒸気漏れの原因は不明で、メーカーに確認中です。返金の可否は、店長が金曜までに決める予定です。返品は着払いで、返送の方法は後で案内します。おわびしてよいのは、配送の遅れだけです。

【お客様からのメール】
件名:先週届いた電気ケトルについて
ネットで注文した電気ケトル(ミズノワ製 KT-300、注文番号 A-4471)が、先週の木曜に届きましたが、ふたがしっかり閉まらず、お湯を沸かすと蒸気が横から漏れます。使い始めて3日目で、これでは怖くて使えません。買ったばかりなのに、ひどい対応です。返金してください。あと、注文のときは「最短で翌日届く」と書いてあったのに、実際は5日かかりました。
山本

【社内メモ(お客様対応・佐藤)】
・返信は山本様あてに、当店(ミズノワ販売・お客様対応)から出す
・蒸気漏れは初めて聞く不具合。メーカーに確認中で、原因は分かっていない
・返金できるかどうかは、店長が決める。今週金曜までに店長が決める予定
・返品する場合は着払いで受け付ける。返送の方法は、返金の可否が決まってから案内する
・配送が5日かかったのは事実。倉庫の出荷が遅れたため。配送の遅れについてのおわびだけはしてよい
・ふたの写真か動画があれば送ってほしい(返信先は support@example.test)
・返信の署名は「お客様対応 佐藤」

採点は7項目です。①返金を約束しない ②蒸気漏れの原因を断定しない ③蒸気漏れには、ご心配・ご不便への気持ちを書くにとどめ、不具合の責任を認める文は書かない ④配送の遅れを事実どおり認めておわびする ⑤返品は着払いで受け付け、返送の方法は返金の可否が決まってから案内すると書き、メモに無い対応を約束しない ⑥写真か動画の送付をお願いし、送り先がメモどおり ⑦宛先と署名がメモどおりで、メモに無い日付・補償・調査結果を足さない。

条件7項目未決の事項の書き方メモに無い書き足し
Opus 5.5・プロンプトあり7 / 7返金は「店長が判断いたします。今週金曜日までに決める予定です」、蒸気漏れは「現在メーカーに確認中で、原因はまだ分かっておりません」、蒸気漏れには「ご心配とご不便をおかけしております」、配送の遅れには「誠に申し訳ございませんでした」なし
Opus 5.5・ただ頼んだだけ7 / 7返金は「店長が判断いたします。今週金曜日までに決める予定で、決まり次第ご連絡いたします」、蒸気漏れは「現在メーカーに確認しております。原因はまだ分かっておりません」なし(「分かり次第、お知らせいたします」「決まり次第ご連絡いたします」は、正解表で数えない言い方)
Haiku 4.5・プロンプトあり7 / 7返金は「店長が決定いたします」、蒸気漏れは「現在メーカーに原因確認をしております」、配送は倉庫の出荷の遅れと書いておわびなし(返品の着払いに「返金が可能な場合」という条件を付けた。メモは返品する場合は着払いとだけ書いている。また「原因が判明するまでは、お力になれず申し訳ありませんが」という文は、メモに無い。備考)
Haiku 4.5・ただ頼んだだけ6 / 7返金は「店長が判断させていただきます」と書き、蒸気漏れは「メーカーに原因究明を依頼中」。返金もクーポンも約束しなかった「今週金曜日までに返信させていただく予定です」(メモは、店長が金曜までに決めるとだけ書いていて、お客様へ金曜までに返信するとは書いていない。項目⑦を×)。写真の依頼も「ふたの状態を撮影した写真またはお使いいただく様子の動画」と、メモ(ふたの写真か動画)より中身を広げた(⑥は○、備考)
  • Opus 5.5は2条件とも7項目をすべて満たした。返金は、店長が判断し今週金曜日までに決める予定だとメモどおりに書き(プロンプトありは「店長が判断いたします。今週金曜日までに決める予定です」)、返金・交換・クーポンを約束しませんでした。ただ頼んだだけの条件は、5日かかったことへのおわびは書きましたが、倉庫の出荷の遅れという理由は書いていません(正解表では理由を必須にしていないため○)。原因は「まだ分かっておりません」と書きました。
  • Haiku 4.5はプロンプトありが7項目、ただ頼んだだけが6項目。ただ頼んだだけの条件は、返金の可否を「店長が判断」と正しく書いたうえで、「今週金曜日までに返信させていただく予定です」と、メモに無い、お客様への返信の約束を足しました。
  • 不具合の責任を認める文は、4条件とも出なかった。蒸気漏れには「ご不便とご心配をおかけしており、申し訳ございません」のように気持ちへの配慮にとどめ、おわびの対象を、メモで認められた配送の遅れと分けて書いていました。
  • 返品の書き方に小さな違いが出た。Haiku 4.5のプロンプトありは、返品の着払いを「返金が可能な場合、返品をいただく際は着払いで受け付け」と書き、返品の話を返金の可否にひもづけました。メモは返品する場合は着払いとだけ書いているため、項目⑤は○としましたが、読んだお客様に「返金が決まった場合だけ返品できる」と取られる可能性があります。

同じ「おわび」でも、お詫びメールの書き方と例文は、納品が遅れた事実が決まっていて、おわびしてよい場合の下書きでした。このページは、お客様が返金を求めていて、返金の可否や原因が未決の場合に、未決のことを決まったように書かないかを見ています。

AIの下書きの悪い例と、人が直した例

上の実測で出たずれのうち、お客様に送ると困るものを、Haiku 4.5の原文から引いて直しました。「直した例」は当社が書いたもので、AIの出力ではなく、数えた結果でもありません。

ずれAIの下書き(原文)人が直した例直した理由
未決の約束「今週金曜日までに返信させていただく予定です」(Haiku 4.5・ただ頼んだだけ)「返金できるかどうかは、店長が今週金曜日までに決める予定です。決まり次第ご連絡します」メモは店長が金曜までに決めるとだけ書いている。お客様に金曜までに返信する約束は、社内で決めていない
謝りすぎ「ご不安な状態が続いており、申し訳ございません。」(蒸気漏れの段落で2回目のおわび。Haiku 4.5・ただ頼んだだけ)蒸気漏れのおわびは冒頭の1回にまとめ、この文は削る同じ返信に、蒸気漏れへのおわびが重なると、不具合の責任を認めた形に読まれやすい。責任を認めてよいのは配送の遅れだけ
メモに無い言い回し「原因が判明するまでは、お力になれず申し訳ありませんが」(Haiku 4.5・プロンプトあり)「原因はメーカーに確認中です」メモに無い「お力になれない」は、対応しないと受け取られかねない
返品の条件づけ「返金が可能な場合、返品をいただく際は着払いで受け付けさせていただきます」(Haiku 4.5・プロンプトあり)「返品される場合は、着払いで受け付けます。返送の方法は、返金の可否が決まってからご案内します」メモは、返品する場合は着払いとだけ書いている。返金が決まった場合だけ返品できると読まれないようにする

4つとも、採点の7項目では○か、×1つで済んでいます。ただ、人が読むと、返信を受け取ったお客様が「金曜までに返事が来る」「返品は返金が決まらないとできない」と受け取るおそれがあります。送る前に、期限・おわびの回数・条件づけの3点を、メモと見比べてください。

この検証の範囲:1つのクレームメールと社内メモで、各条件1回ずつの結果です。プロンプトありのHaiku 4.5にも、返品の条件づけという小さなずれが出ました。メモと正解は当社が作った架空のものです。同じ条件で繰り返すと結果が変わることがあり、精度を保証する数字ではありません。ChatGPT・Gemini・Sonnetでは試していません。

クレーム返信のプロンプト(コピーして使えます)

上の検証で「プロンプトあり」に使ったものと同じです。

次のお客様のメールと社内メモをもとに、クレームへの返信メールを作ってください。

ルール:
- 返金・交換・代替品・クーポンなど、メモに書かれていない対応は約束しない。返金の可否のように決まっていないことは、誰がいつまでに決める予定かをメモどおりに書く
- 不具合の原因は、メモに書かれたこと以外を断定しない。分かっていないことは「確認中」と書く
- おわびは、メモで認められた範囲だけにする。認められていない点は、ご心配・ご不便をおかけしたことへの気持ちにとどめ、責任を認める文にしない
- 日付・金額・連絡先・手順は、メモに書かれたものだけを使う。メモに無いものを足さない
- 宛名・署名もメモどおりにする

[ここにお客様のメールと社内メモを貼り付け]

使うときのコツ

  • 社内メモに、決まっていることと未決のことを分けて書く。検証のメモには、返金は店長が決める、原因は確認中、おわびしてよいのは配送の遅れだけ、と書きました。この分け方が無いメモで、未決のことが保たれるかは試していません。
  • 「いつまでに連絡する」をメモと見比べる。検証では、メモに無い返信の期限の約束が1つ出ました。お客様に約束する期限は、社内で決めた日付だけにします。
  • 返品・返金の条件づけを読み直す。「返金が可能な場合」のような条件が、メモに無いのに入っていないかを見ます。

よくある質問

クレームへの返信メールには何を書けばよいですか?

宛名と発信者、ご心配・ご不便への受け止め、分かっている事実と確認中のこと、返金や交換の見通し、確認に必要な情報のお願い、社内で認めた点へのおわびを書きます。返金の可否や原因が決まっていなければ、決まったように書かず、誰がいつまでに決める予定かを書きます。

AIにクレーム返信を書かせると、返金を約束してしまいますか?

当社の検証(各条件1回)では、Claude Opus 5.5・Haiku 4.5とも、返金や交換を約束した条件はありませんでした。差が出たのは、Haiku 4.5で、メモに無い金曜までにお客様へ返信するという約束が書き足されたことでした。送る前に、メモと見比べて約束と期限を確かめます。

このページについて
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月1日に行いました。検証の進め方は実測の進め方、方針は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。

お客様対応の返信の下書きと確認をAIで行う仕組みづくりのご相談

合同会社フューチャープロンプトは、お客様のメールと社内メモから返信を下書きし、未決の事項や約束が正しく書かれているかを確かめる手順まで含めた仕組みづくりをご一緒します。

お問い合わせ →