書き方と実測

医療費の領収書の束をAIに集計させる検証

控除対象外の混入と合計の誤りの実測・プロンプト

結論(先に)医療費の領収書の束(架空・12枚・2人分)から、医療費控除の明細書を作るための集計表をAIに作らせ、控除の対象にならないものの混入と合計の誤りを調べました。Opus 5.5とHaiku 4.5を、ただ頼んだ条件とプロンプトありの条件で試した4条件は、対象外にあたる6件(ビタミンC錠・健康診断・見た目を整える矯正・タクシー代・駐車料金・個室使用料)をどれも対象の合計に入れませんでした。差が出たのは、頼んでいない控除額の計算や助言の書き足しと、Haiku 4.5(ただ頼んだだけ)がかぜ薬を「要確認」にしたことでした。

医療費の領収書の集計で間違えやすいところ

医療費控除の明細書は、医療費の領収書から作ります。領収書の束には、控除の対象になるものとならないものが混ざります。国税庁のタックスアンサー(No.1122・1126・1128)には、次のような例が載っています。

  • 薬:風邪をひいたときの風邪薬は対象で、ビタミン剤など病気の予防や健康増進のための医薬品は対象になりません。
  • 健康診断:健康診断の費用は、原則として含まれません。
  • 通院の交通費:公共交通機関が利用できない場合を除き、タクシー代は対象に含まれません。自家用車の駐車場の料金も対象になりません。
  • 入院:本人や家族の都合だけで個室に入ったときの差額ベッドの料金は対象になりません。病院が出す食事は入院代に含まれ、対象になります。
  • 歯の治療:容ぼうを美化するための歯列矯正の費用は対象になりません。

1枚の領収書に、対象になるものとならないものが並ぶこともあります。集計では、行ごとに分けて判断し、合計を合わせる必要があります。領収書や通知の読み取りそのものは、領収書の読み取りと医療費のお知らせの読み取りで調べています。この記事は、読み取ったあとの仕分けと集計を対象にしています。

AIに領収書の束を集計させたときの実測

下の領収書の束(架空・12枚・2人分)を、答えを知らない状態のClaude(Opus 5.5/軽くて速いHaiku 4.5)に、「次の領収書の束から、医療費控除の明細書を作るための集計表を作ってください。」とだけ頼む条件と、下のプロンプトを付ける条件で渡しました。4条件です。

【領収書の束(2025年分・12枚)】
納税者:田中 一郎/生計を一にする配偶者:田中 花子
※金額は税込み・窓口で支払った額。人物・医療機関・店は架空。

[1] 2025/02/10 みなと内科クリニック 受診者:田中 一郎
 再診料 1,200円/検査料 2,000円  合計 3,200円

[2] 2025/02/10 ミナト調剤薬局(処方せん調剤) 受診者:田中 一郎
 調剤料・薬剤料 1,480円  合計 1,480円

[3] 2025/03/05 ドラッグミナト 購入者:田中 一郎
 総合かぜ薬 1,320円/ビタミンC錠(60日分) 2,200円  合計 3,520円

[4] 2025/04/12 みなと内科クリニック 受診者:田中 花子
 定期健康診断料 8,800円  合計 8,800円
 (メモ:職場外で受けた健診。結果は異常なしで、その後の治療はなし)

[5] 2025/05/20 さくら歯科医院 受診者:田中 花子
 むし歯治療(保険診療) 4,500円  合計 4,500円

[6] 2025/05/20 さくら歯科医院 受診者:田中 花子
 審美歯列矯正 調整料(見た目を整える目的) 33,000円  合計 33,000円

[7] 2025/06/18 ひかり眼科 受診者:田中 一郎
 診察料 2,100円  合計 2,100円

[8] 2025/07/02 みなと第一タクシー 乗客:田中 花子
 さくら歯科医院までの乗車 1,860円  合計 1,860円
 (メモ:自宅の最寄り駅から電車で通院できる)

[9] 2025/08/15 ミナト市民病院 駐車場 利用者:田中 一郎
 駐車料金 400円  合計 400円
 (メモ:自家用車で通院した日の分)

[10] 2025/09/03 ミナト市民病院 入院(3日間) 患者:田中 一郎
 入院診療費 48,600円/食事療養費(病院が出した食事) 1,380円/個室使用料(本人の希望で個室。医師の指示なし) 15,000円  合計 64,980円

[11] 2025/10/09 ミナト調剤薬局(処方せん調剤) 受診者:田中 花子
 調剤料・薬剤料 1,950円  合計 1,950円

[12] 2025/11/14 みなと内科クリニック 受診者:田中 花子
 再診料 2,400円  合計 2,400円

束には、かぜ薬とビタミンC錠が1枚に並ぶ領収書、診療費・食事療養費・個室使用料が並ぶ入院の領収書、対象外にあたる健康診断・審美目的の矯正・タクシー・駐車料金を入れました。対象かどうかの正解は、上の国税庁の案内に載っている例だけで決めました。

採点は8項目です。①12枚すべてが人ごとに正しく並ぶ ②かぜ薬とビタミンC錠、入院の診療費・食事療養費と個室使用料を分ける ③対象外の6件を対象に入れない ④対象のものを対象外に回さない ⑤対象の合計(一郎58,080円・花子8,850円・全体66,930円) ⑥対象外の合計(全体61,260円) ⑦金額が原文どおりで支払総額128,190円と合う ⑧領収書に無い事項(控除額の計算、助言)を足さない。結果は次のとおりです。

条件8項目集計・仕分け差・書き足し
Opus 5.5・ただ頼んだだけ7 / 812枚を人ごとに分け、かぜ薬とビタミンC錠、入院の診療費・食事療養費と個室使用料を行ごとに分けた。対象外の6件は対象の合計に入れず、対象66,930円・対象外61,260円・支払総額128,190円控除額の計算の説明(10万円の差し引き、総所得金額等が200万円未満のとき)、保険金などの補てんの扱い、電車代のメモの助言を足した
Opus 5.5・プロンプトあり8 / 8対象の表と対象外の表に分け、人ごとの小計(一郎58,080円・花子8,850円、対象外は17,600円・43,660円)と全体の照合が正解どおり控除額の計算や助言は無し(人ごとの領収書の合計は検算として書いた)。依頼文のルールが6つと書いてあるのに5つしか無いことを注記した
Haiku 4.5・ただ頼んだだけ6 / 8対象外の6件は対象に入れなかった。対象外の合計は61,260円で正解どおりかぜ薬1,320円を「要確認」にして、確定の対象を65,610円とした(含めると66,930円)。控除額の計算の考え方と、確認が必要な点4つ(セルフメディケーション税制との違い、保険金の補填、支払者、所得金額)を足した
Haiku 4.5・プロンプトあり7 / 8対象の表と対象外の表に分け、人ごとの合計と全体の照合が正解どおり(対象66,930円・対象外61,260円・128,190円)生命保険の入院給付金などで補填を受けた額があるかを確認するという助言を1つ足した
  • 対象外の6件の混入は、4条件とも0件だった。ビタミンC錠・健康診断・審美矯正・タクシー代・駐車料金・個室使用料は、どの条件でも対象の合計に入りませんでした。理由も、領収書のメモや国税庁の案内に沿って書かれていました。
  • 合計の誤りは、確定の対象額にかぜ薬を入れなかったHaiku 4.5(ただ頼んだだけ)だけだった。かぜ薬1,320円を「要確認」にして、「確定分は65,610円です。総合かぜ薬を含めると66,930円になります。」と書きました。国税庁の案内には、風邪をひいたときの風邪薬は対象と書かれています。
  • 書き足しは、頼んでいない控除額の計算や助言だった。ただ頼んだだけの2条件は、10万円の差し引きなど控除額の計算の考え方を足しました。Opus 5.5(ただ頼んだだけ)は「66,930円は10万円に届かないので、控除額は0円です」と、所得の条件つきで書きました。プロンプトありのHaiku 4.5も、保険金の補填を確認するという助言を1つ足しました。
  • プロンプトのルールの数え間違いに、Opus 5.5が気づいた。この検証の依頼文は「ルールは次の6つです」と書きながら5つしか並べていませんでした(書き間違い)。Opus 5.5(プロンプトあり)は、その点を注記したうえで、5つのルールで表を作りました。下のプロンプトは「5つ」に直してあります。
この検証の範囲:領収書12枚の架空の束1つで、各条件1回ずつの結果です。束と正解は当社が作ったものです。同じ条件で繰り返すと結果が変わることがあり、枚数の多い実際の束で同じになるとは限りません。プロンプトありの条件には対象外の例を書いてあるため、束の対象外と重なっています。医療費控除の明細書の書式、控除額の計算、保険金で補填された額は調べていません。ChatGPT・Gemini・Sonnetは試していません。画像の領収書も試していません。

医療費の領収書の集計のプロンプト(コピーして使えます)

上の検証で「プロンプトあり」に使ったものと同じです(検証では、このプロンプトの前に「ツールは一切使わず、次の依頼への回答だけを返してください。前置きや作業の説明は不要です。」の2文を添えています。ルールの数は、検証では書き間違いで「6つ」でした)。

次の領収書の束から、医療費控除の明細書を作るための集計表を作ってください。ルールは次の5つです。
1. 領収書は1枚も落とさず、受診した人ごとに、日付・支払先・内容・金額を表にする。
2. 1枚の領収書に内訳が複数あるときは、内訳の行ごとに分けて判断する。
3. 次のものは医療費控除の対象外として、別の表に理由つきで分ける。健康診断の費用(治療につながっていないもの)、ビタミン剤など病気の予防や健康増進のための医薬品、容ぼうを美化するための費用、公共交通機関で通えるときのタクシー代、自家用車の駐車場代、本人や家族の都合だけで個室に入ったときの差額ベッド代。
4. 対象の表と対象外の表で、人ごとの合計と全体の合計を出す。領収書の金額の合計と、対象と対象外の合計が一致することを確かめる。
5. 領収書に書かれていない事柄(控除額の計算、助言、書かれていない金額)は、書き足さない。

[ここに領収書の内容を貼り付け]

使うときのコツ

  • 内訳の行ごとに判断させる。1枚の領収書に対象のものと対象外のものが並ぶときに、分け漏れを防げます。今回は、指定の無い条件でも分けられましたが、1回ずつの結果です。
  • 対象外の例は、国税庁の案内から選んで書く。今回の6つの例は、国税庁のタックスアンサーにあるものです。例を入れても、判断に迷うものは人が確かめます。
  • 「控除額の計算は書かない」を入れる。今回、控除額の計算を足したのは、ルール5を付けなかった2条件のうち、Opus 5.5とHaiku 4.5の両方でした。
  • 合計は領収書の合計と合わせる。対象と対象外を足して領収書の合計になるかを、表の最後に書かせます。

まとめ

医療費の領収書の束を集計させると、Opus 5.5・Haiku 4.5ともに、控除の対象にならない6件を対象の合計に入れませんでした。差が出たのは、確定の対象額からかぜ薬を外したHaiku 4.5(ただ頼んだだけ)と、頼んでいない控除額の計算や助言の書き足しです。見る場所は、集計表の合計と、頼んだ範囲を超えた説明です。

よくある質問

医療費の領収書をAIに集計させると、控除の対象にならないものが混ざりますか。

この検証では、Opus 5.5とHaiku 4.5のどちらも、4条件すべてで、ビタミンC錠・健康診断・見た目を整える矯正・タクシー代・駐車料金・個室使用料の6件を、対象の合計に入れませんでした。ただし各条件1回の結果で、領収書12枚の架空の束です。実際の領収書の束で同じになるとは限りません。

1枚の領収書にかぜ薬とビタミン剤が並んでいるとき、AIは分けて判断しますか。

この検証では、4条件とも、かぜ薬1,320円とビタミンC錠2,200円を行ごとに分けました。入院の領収書の個室使用料は、4条件とも別の行に分けました。ただしHaiku 4.5(ただ頼んだだけ)は、かぜ薬を「要確認」にして、確定の合計に入れませんでした。

AIの集計表を、そのまま医療費控除の明細書に使えますか。

この検証では、集計表の合計が正解表と合うかを調べただけで、明細書の書式や控除額は調べていません。何が医療費控除の対象になるかは、国税庁のタックスアンサー(No.1122・1126・1128)に例が載っています。実際に申告するときは、領収書と国税庁の案内で確かめます。

この領収書の医療機関や金額は実在しますか。

いいえ。人物・医療機関・店・金額・日付はすべて当社が作った架空のものです。

このページについて
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月15日に行いました。検証の作り方は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。

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