文章校正をAIにさせた実測4本の比較
表記ゆれ・二重敬語・和暦の変換・住所の正規化で、AIが見落とした型と疑いすぎた型
当社はこれまでに、表記ゆれ・二重敬語・和暦から西暦への変換・住所の正規化の4種類で、文章の校正をAIにさせる検証を行いました。どれも答えを知らない状態のClaude Opus 5.5とClaude Haiku 4.5に、架空の文章や一覧を渡して回答を採点しています。このページは新しい実測ではなく、4本の採点結果を「AIが見落とす型」で1枚に並べたものです。誤字脱字だけを10か所で確かめた結果は文章校正・誤字脱字チェックをAIで行う精度検証を見てください。
4本の結果(各条件1回)
題材ごとに採点の項目が違うため、表の点数どうしの優劣は比べられません。各条件は、プロンプトあり(チェック用の指示つき)と、ただ頼んだだけの2つです。
| 記事 | 題材と仕込み | Opus 5.5 | Haiku 4.5 |
|---|---|---|---|
| 表記ゆれ | 送り仮名・長音・全角半角などの10組と、ゆれに見えて正しい5語を入れた文章 | プロンプトあり・なしとも10/10。ひっかけの誤指摘は、プロンプトなしで2/5、プロンプトありで0/5 | プロンプトありは6/10、ただ頼んだは4/10。ひっかけの誤指摘は2条件とも2/5 |
| 二重敬語 | 二重敬語6つと、直さなくてよい4つを入れたメール | 6/6を2条件とも指摘。直さなくてよい4つは、プロンプトありは4つとも除外、なしは「お召し上がりになってください」を誤りとした | 6/6を2条件とも指摘。プロンプトありは「お召し上がりになってください」と「お読みになっていらっしゃる」を誤りとし、直さなくてよい欄は「なし」 |
| 和暦から西暦への変換 | 存在しない日付4行を混ぜた日付20行 | 2条件とも20/20。存在しない4行すべてに理由つきで気づいた | プロンプトありは18/20(実在する2行を「存在しない」と判定)、ただ頼んだは16/20(存在しない4行を黙って変換) |
| 住所の正規化 | 同じ場所を別の書き方にした5組を含む住所20行 | 2条件とも25/25。直せない住所に「要確認」を付けた(プロンプトあり) | 2条件とも25/25。札幌の「丁目」が消えた(数字は残っている) |
AIが見落とした型
- ゆれそのものを見つけられない:表記ゆれのHaiku 4.5。10組のうち、プロンプトありで6組、ただ頼んだだけで4組でした。プロンプトで見つける数は増えましたが、「1回しか出ない表記は数えない」というルールを、別の表記が文中にある語に当てはめて除外する誤りも出ました。
- 存在しない日付を黙って変換する:和暦のHaiku 4.5(ただ頼んだだけ)。「令和7年2月29日」を「2025年2月29日」とするなど、暦に無い日付を何も言わずに西暦へ直しました。書き間違いが一覧から消えるため、気づきにくい型です。
- 決まった形に直せない住所を黙って崩す:住所のHaiku 4.5。札幌の「北3条西4丁目」の「丁目」が消えました。数字は残っていますが、元の書き方の情報は減っています。
AIが疑いすぎた型
- ゆれに見えて正しい語を、ゆれとして挙げる。表記ゆれの実測では、ひっかけ5語のうち2語を、Opus 5.5のただ頼んだ条件とHaiku 4.5の2条件が挙げました。Opus 5.5にプロンプトで送り仮名の通則7と商品名の扱いを示すと、挙げた数は0になりました。Haiku 4.5では、プロンプトありでも2のままでした。
- 直さなくてよい敬語を、誤りとする。二重敬語の実測では、定着した「お召し上がりになる」を誤りとした回答がOpus 5.5(ただ頼んだだけ)とHaiku 4.5(プロンプトあり)にあり、Haiku 4.5のプロンプトありは敬語連結の「お読みになっていらっしゃる」も二重敬語と判定しました。
- 実在する日付を、存在しないとする。プロンプトありのHaiku 4.5は、存在しない4行をすべて見つけた一方、実在する「平成31年4月30日」と「昭和64年1月7日」まで「存在しない」と判定しました。
見落としの型は「チェックを頼んだのに指摘が出ない」ので、読む側が気づきにくく、疑いすぎの型は指摘が出るぶん、原本で確かめる手間が増えます。
崩れにくかった部分
- 数字や年の計算。和暦の実測では、令和・平成・昭和の年を西暦に直す計算とH・R・Sの略記の読み替えは、変換した行ではすべて正しい値でした。
- 住所の数字。漢数字の「二十一」「百一」、全角の「10」「4567」、「二ノ四ノ六」も、4条件とも正しい数字になりました。同じ場所を別の書き方にした5組も、4条件とも同じ形に揃いました。
- 二重敬語の6つ。4条件すべてが6つとも指摘しました。差が出たのは、直さなくてよい4つの扱いです。
プロンプトとモデルで差は出たか
- Opus 5.5は、見つける数が4本とも満点でした。差が出たのは疑いすぎの側で、プロンプトで基準を示した表記ゆれでは誤指摘が0になり、示さなかった二重敬語ではただ頼んだ条件に誤りの判定が残りました。
- Haiku 4.5は、プロンプトを付けても崩れる題材がありました。表記ゆれは見つける数が6/10、和暦は実在する日付を「存在しない」とし、二重敬語は直さなくてよい欄が「なし」でした。
- 各条件1回の結果です。Haikuが毎回崩れるとも、Opusが毎回正しいとも言えません。
文章校正をAIにさせるときの確認点
- 「指摘なし」を、問題なしと受け取らない。軽いモデルでは、10組のうち4〜6組しか見つからない回がありました。重要な文書は、大きいモデルに同じチェックを頼んで見比べます。
- 「誤り」と出た箇所は、原本や公的な資料で確かめる。実在する日付や定着した敬語を誤りとする回がありました。
- 変換を頼むときは、「存在しない値は変換せず、そのまま挙げる」と指示する。ただ頼んだだけでは、暦に無い日付が西暦になって残りました。
- 直さなくてよい例を、プロンプトに先に書く。表記ゆれでは、送り仮名の通則7と商品名の扱いを示したOpus 5.5で誤指摘が0になりました。
- 正規化の前後は、元の書き方と並べて見比べる。「丁目」のように、数字は残っても書き方が消えることがあります。
よくある質問
AIに表記ゆれのチェックを頼むと、見落としは出ますか?
当社の実測では、表記ゆれ10組を仕込んだ文章で、Opus 5.5は依頼の仕方にかかわらず10組すべてを見つけました。Haiku 4.5は、プロンプトありで6組、ただ頼んだだけで4組でした。
AIは、ゆれに見えて正しい表記まで直そうとしますか?
表記ゆれの実測では、ゆれに見えて正しい語5つのうち、Opus 5.5のただ頼んだ条件とHaiku 4.5の2条件が、それぞれ2つをゆれとして挙げました。Opus 5.5にプロンプトで送り仮名の通則7と商品名の扱いを示すと、挙げた数は0になりました。二重敬語の実測でも、直さなくてよい4つを誤りとする回答がありました。
和暦を西暦に直す計算は、AIに任せて大丈夫ですか?
令和・平成・昭和の年を西暦に直す計算と、H・R・Sの略記の読み替えは、変換した行ではすべて正しい値でした。崩れたのは、存在しない日付の扱いです。ただ頼んだHaiku 4.5は、存在しない4行を何も言わずに西暦へ変換しました。架空の日付20行での各条件1回の結果です。
住所の表記ゆれの正規化で、数字が落ちることはありますか?
架空の住所20行の実測では、4条件とも数字は1つも落ちず、同じ場所を別の書き方にした5組も同じ形に揃いました。差が出たのは、決まった形に直せない住所の扱いです。Haiku 4.5は札幌の「丁目」を消して書きました(数字は残っています)。
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。数字はすべて、当社が行った4本の検証(各条件1回。実施日は各検証の記事に記載)の採点表によるものです。Sonnetなど他のClaudeのモデルは試していません。会社の詳細はトップページをご覧ください。
検証の進め方は実測の進め方をご覧ください。
この記事で使ったプロンプトは、ほかの業務書類のものと並べて、業務書類のAIプロンプト集から貼り付けて使えます。
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