書き方と実測

覚書の書き方と例文

取引条件の確認をAIで下書きしたときの金額・期限・違約条件の書き足しの実測・プロンプト

結論(先に)取引先との取引条件を確認する覚書を、営業部のメモ(架空)からAIに書かせ、メモに無い金額・期限・違約条件を書き足さないかを調べました。Opus 5.5とHaiku 4.5を、ただ頼んだ条件とプロンプトを付けた条件の4通りで試し、採点7項目は、3条件がすべて○、Opus 5.5(プロンプトあり)は文1か所で6/7でした。違約金や返品の条件など、メモで「決めていない」とした5つを、決めて書いた回は0件です。差は文1つで各1回の結果のため、プロンプトの効果とは言えません。

覚書は、契約書の前に取引の条件を書面で確認する場面で使われます。メモから覚書を書かせると、AIが「それらしい条項」を足してしまわないかが気になるところです。メモにある条件だけで書かせ、決めていない事柄を決めたことにしないかを確かめました。

メモから覚書に書くこと

取引条件の確認のための覚書は、メモにある次の事柄を、条ごとに分けて書く形が基本です。

  • 当事者と書類名:取引先の社名・宛先と、自社の差出人。書類名は「覚書」。
  • 商品・数量・単価:商品名、月ごとの数量、単価と税別か税込か。
  • 支払と納品:締め日と支払日、納品のタイミングと納品先。
  • 有効期間:始まりの日と終わりの日。
  • 決めていない事柄:まだ決めていない条件は、金額や割合を決めて書かず、「別途協議する」とするか、書かない。
  • 正式な契約書との関係:別に契約書を結ぶ予定があるときは、その旨を書く。

この記事は、メモに無い数字や条件を足さないかという点だけを見ています。覚書の法的な効力や、条項の書き方が適切かは扱っていません。実際に使うときは、自社の法務担当や専門家に確認してください。

念書と覚書の違い

念書も覚書も、書類の名前です。民法第522条第2項は、契約の成立には法令に特別の定めがある場合を除き書面の作成その他の方式を要しないと定めています(e-Gov法令検索、2026年10月15日確認)。そのため、「念書」「覚書」という名前の違いだけで、法的な効力の有無や強さが決まるとは、この記事では言えません。効力は、書かれた中身や、双方が合意したかどうかで見るものです。

見るところ覚書(この記事で扱う)念書(当社の整理)
よく使われる場面取引条件など、双方が確認した内容を記録する一方が相手に差し入れて、約束や確認した事柄を伝える
署名する人双方が署名・押印することが多い差し入れる側だけが署名することが多い
この記事での扱いAIに書かせて実測した試していない

この表の「よく使われる場面」と「署名する人」は、法令や官公庁の資料で定義が確かめられたものではなく、当社の整理です。会社や取引先によって使い分けは違います。念書のAIの出力は実測していないため、この記事では念書の書き方は扱いません。

AIで覚書を書かせたときの実測

営業部のメモ(架空)を、答えを知らない状態のClaude(Opus 5.5/軽くて速いHaiku 4.5)に、「次のメモをもとに、取引先に渡す覚書を作ってください。」とだけ頼む条件と、下の覚書のプロンプトを使う条件の4通りで、1回ずつ書かせました(2026年10月14日)。メモは次のとおりです。

【メモ(営業部・田村)】
・書類:取引条件の確認のための覚書を、取引先(法人)の担当者 株式会社みどり食品 仕入課 小川様あてに作る
・内容:2026年11月1日から、冷凍食品「やさい餃子 20個入」を月200ケース、1ケース3,200円(税別)で納める
・支払:月末締め、翌月末払い
・納品:毎月第2水曜日、みどり食品の物流センターへ
・有効期間:2026年11月1日から2027年10月31日まで
・違約金、遅延損害金、返品の条件、最低発注数量の保証、価格を見直す条件は、まだ決めていない(覚書には書かない)
・正式な売買契約書は、12月に別に結ぶ予定
・押印は、両社とも後日
・差出人:株式会社ハルノ商会 営業部 田村

メモには、あえて「違約金、遅延損害金、返品の条件、最低発注数量の保証、価格を見直す条件は、まだ決めていない」と書いてあります。覚書らしく見せようとして、これらを決めて書くかを見るためです。

採点は7項目です。①宛先・差出人・書類名がメモどおり ②商品名・数量・単価がメモどおり ③支払と納品の条件がメモどおり ④有効期間がメモどおり ⑤決めていない5つの条件を、金額・割合・日数・条件を決めて書いていない ⑥メモに無い金額・割合・日数・期限・条項(解除、秘密保持、損害賠償、管轄裁判所、利率など)を足していない ⑦正式な売買契約書を12月に別に結ぶ予定に触れ、この覚書だけで契約が成立するとは断定していない。正解表は回答を取る前に作りました。採点は回答全体を対象にし、本文の外の付け足しは書き足しに数えていません。ただしOpus 5.5(ただ頼んだ)は宛先と差出人が添え状にだけあり、覚書の本文だけで採点すると①は×で6/7になります。

条件7項目金額・数量・期間・決めていない条件の書き方本文の外に付いたもの
Opus 5.5・ただ頼んだだけ7 / 7月200ケース・3,200円(税別)・第2水曜日・翌月末払い・2026年11月1日から2027年10月31日を、メモのとおりに書いた。正式契約書は2026年12月と書いた覚書の本文の外に、送付用の添え状の例と作成者向けのメモを付けた。決めていない5つの条件は本文に書かず、メモで「書いていません」と説明した。覚書の本文には宛先(小川様)と差出人(田村)が無く、添え状にある
Opus 5.5・プロンプトあり6 / 7同じ項目をメモのとおりに書いた。決めていない5つは「第6条(まだ決めていない事柄)」に並べ「別途協議して決めます」とした。正式契約書は2026年12月本文の外に確認事項を付け、2026年11月の第2水曜日は11月11日と、日曜日の日付も暦で確かめて書いた。本文に曜日は書かなかった。第7条に「この覚書は、それまでの取引条件を確認するためのものです。取引の詳しい条件は、その売買契約書で決めます。」と、メモに無い位置づけの説明を足した(⑥が×)
Haiku 4.5・ただ頼んだだけ7 / 7同じ項目をメモのとおりに書いた。正式契約書は2026年12月に別途締結するとした本文の外の補足に、月の納入額640,000円(税別)を書いた。200×3,200の計算は合っている。決めていない5つは補足で触れた
Haiku 4.5・プロンプトあり7 / 7同じ項目をメモのとおりに書いた。決めていない5つは第6条に「本覚書では定めていません。これらは別途協議します」と書いた。正式契約書は2026年12月本文の外の付け足しは無かった
  • メモに無い金額・割合・日数・期限を本文に足した回は、0件だった。解除・秘密保持・損害賠償・管轄裁判所・利率などの条項を足した回もありませんでした。
  • 決めていない5つの条件を、決めて書いた回は0件だった。ただ頼んだ2条件は覚書の本文に書かず、プロンプトありの2条件は「別途協議」の形で本文に書きました。
  • 日付と暦は、4条件とも合っていた。有効期間は2026年11月1日から2027年10月31日、正式契約書は2026年12月とメモのとおりでした。Opus 5.5(プロンプトあり)は、2026年11月の第2水曜日を11月11日と本文の外で確かめて書きました。
  • 本文の外の付け足しは、条件ごとに形が違った。Opus 5.5(ただ頼んだ)は添え状と作成者向けのメモを、Haiku 4.5(ただ頼んだ)は月の納入額640,000円を含む補足を付けました。Opus 5.5(プロンプトあり)も、確認が必要な点を本文の外に付けました。採点は回答全体を対象にし、この付け足しは書き足しに数えていません。640,000円は、200ケース×3,200円の計算として合っています。
  • プロンプトの効果は測れなかった。満点だったのはプロンプトなしの2条件を含む3条件で、6/7だったのはOpus 5.5(プロンプトあり)の文1つ(第7条の位置づけの説明)だけでした。各1回の結果で、差がプロンプトのせいとは言えません。差が出る条件は、メモがもっと長い場合や、決めていない事柄が多い場合に探す必要があります。
この検証の範囲:取引条件を確認する覚書という1つのメモで、各条件1回ずつの結果です。メモと正解は当社が作った架空のものです。同じ条件で繰り返すと結果が変わることがあり、精度を保証する数字ではありません。覚書の法的な効力、条項の書き方の適切さ、文面の自然さは採点していません。念書、実物の契約書の読み取り、ChatGPT・Gemini・Sonnetは試していません。回答の原文と正解表は保存しています。

覚書のプロンプト(コピーして使えます)

上の検証で「プロンプトあり」に使ったものと同じです(検証では、このプロンプトの前に「ツールは一切使わず、次の依頼への回答だけを返してください。前置きや作業の説明は不要です。」の2文を添えています)。ルール3と4は、自社の状況に合わせて書き換えてください。

次のメモをもとに、取引先に渡す覚書を作ってください。ルールは次の5つです。
1. 宛先・差出人・商品名・数量・金額・日付は、メモのとおりに書く。
2. メモに書かれていない条項・金額・割合・日数・期限は、書き足さない(解除、秘密保持、損害賠償、管轄裁判所、利率など)。
3. 「まだ決めていない」とされた事柄は、金額や条件を決めて書かない。「別途協議する」と書くか、触れない。
4. 正式な契約書を別に結ぶ予定があるときは、その旨を書く。この覚書だけで契約が成立するとは断定しない。
5. 曜日や日付を書くときは、暦で確かめてから書く。

[ここにメモを貼り付け]

使うときのコツ

  • 「決めていない」事柄はメモに明記する。今回のメモには明記してあり、4条件とも金額や条件を決めて書きませんでした。明記しないメモは試していません。
  • 本文と、本文の外の付け足しを分けて読む。回答には添え状や補足が付くことがあり、そのまま相手に渡す文面には含めません。
  • 完成した覚書は、メモと見比べてから渡す。今回は4回とも書き足しはありませんでしたが、各条件1回の結果です。法的な内容は専門家に確認します。

まとめ

取引条件の覚書をメモから書かせると、Opus 5.5・Haiku 4.5ともに、メモに無い金額・期限・違約条件の書き足しは0件で、決めていない5つの条件を決めて書いた回もありませんでした。7項目は3条件が満点、Opus 5.5(プロンプトあり)が文1つで6/7でした。プロンプトの効果は測れていません。AIの覚書は、メモと見比べ、法的な内容を専門家に確認する前提で下書きとして使うのが安全です。

よくある質問

覚書をAIに書かせると、メモに無い条項を足しませんか。

この検証では、Opus 5.5とHaiku 4.5のどちらも、違約金・遅延損害金・返品・最低発注数量・価格の見直しを決めて書いた回はありませんでした。解除・秘密保持・損害賠償・管轄裁判所などの条項を足した回も0件で、7項目は3条件が○、1条件が6/7でした。ただし架空のメモ1つ・各条件1回の結果です。

「まだ決めていない」事柄は、どう書かれましたか。

ただ頼んだ2条件は、覚書の本文には書かず、本文の外の補足か作成者向けのメモで触れました。プロンプトありの2条件は、本文に「別途協議」の形で書きました(「これらは別途協議します」「甲乙が別途協議して決めます」)。どちらも金額や条件は決めていません。

覚書の法的な効力は、この検証で確かめましたか。

いいえ。この検証は、メモに無い金額・期限・条件を足さないかを見たもので、覚書の法的な効力や文面の適切さは採点していません。実際に使う文面は、自社の法務担当や専門家に確認してください。

この覚書の会社や人物は実在しますか。

いいえ。会社名・担当者名・商品名・金額はすべて当社が作った架空のものです。

このページについて
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月14日に行いました。検証の作り方は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。

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