書き方と実測

納品書と請求書をAIで突き合わせる検証

数量・単価・品目の食い違いを3か所仕込んで見つかるかを実測・プロンプト

結論(先に)納品書と請求書をAIに突き合わせさせるとき、数量・単価・品目の食い違いを見つける力は、今回の検証では十分でした。差が出たのは、見つけたあとの扱いです。数量・単価・品目の食い違いを1か所ずつ仕込んだ架空の納品書と請求書(テキスト)を、答えを知らないClaude(Opus 5.5・Haiku 4.5)に4条件で突き合わせさせた当社の検証(各条件1回)では、仕込んだ3か所は4条件すべてで見つかり、一致している行を食い違いとした誤指摘もありませんでした。差が出たのは、どちらが正しいかを確かめる先を示したか(ただ頼んだHaiku 4.5は示さなかった)と、書類に無い推測を足したか(ただ頼んだOpus 5.5は納品書番号の読み方を推測した)です。

取引先から届いた請求書が、受け取った納品書と合っているかを確かめる作業は、行数が増えるほど見落としが出やすくなります。このページでは、食い違いを仕込んだ納品書と請求書をAIに突き合わせさせたときに、何が見つかり、何に気をつけるべきかを、正解表と照らして確かめられる項目に絞って紹介します。書類は文字で渡した結果で、写真やPDFを読み取らせる場合の精度は、このページでは扱っていません。

AIで納品書と請求書を突き合わせさせたときの実測

4品目の納品書と5品目の請求書を用意しました。どちらも架空で、食い違いは3か所、一致する行は2行で、各書類の中の計算は合わせてあります。これを、答えを知らない状態のClaude(Opus 5.5と、軽くて速いHaiku 4.5)に、1回ずつ突き合わせさせました(2026年10月3日)。条件は4通りで、「次の納品書と請求書を突き合わせて、食い違いがあれば教えてください。」とだけ頼む場合と、下の突合のプロンプトを使う場合を、2つのモデルで試しました。

【書類A:納品書】
納品書番号:D-2610-081
納品日:2026年9月24日
納入先:みどり設備株式会社 御中
納入元:ヒノデ部材株式会社

品名 / 数量 / 単価 / 金額
六角ボルト M8×30 / 200本 / 45円 / 9,000円
平ワッシャー M8 / 500枚 / 6円 / 3,000円
六角ナット M8 / 400個 / 12円 / 4,800円
防振ゴム 小 / 40個 / 380円 / 15,200円

小計:32,000円
消費税(10%):3,200円
合計:35,200円

【書類B:請求書】
請求書番号:S-26-0931
請求日:2026年9月30日
請求先:みどり設備株式会社 御中
請求元:ヒノデ部材株式会社
対象の納品書:D-2610-081(納品日 2026年9月24日)

品名 / 数量 / 単価 / 金額
六角ボルト M8×30 / 250本 / 45円 / 11,250円
平ワッシャー M8 / 500枚 / 8円 / 4,000円
六角ナット M8 / 400個 / 12円 / 4,800円
スプリングワッシャー M8 / 300枚 / 5円 / 1,500円
防振ゴム 小 / 40個 / 380円 / 15,200円

小計:36,750円
消費税(10%):3,675円
合計:40,425円

仕込んだ食い違いは、①六角ボルトの数量(納品書200本、請求書250本)②平ワッシャーの単価(納品書6円、請求書8円)③納品書に無いスプリングワッシャー(請求書だけに300枚・1,500円)の3つです。税抜の差額は合計4,750円(2,250円+1,000円+1,500円)、税込では5,225円です。採点は7項目で、①〜③を指摘できたか(項目1〜3)、差額が正しいか(項目4)、一致している行を食い違いと言っていないか(項目5)、書類に無い事実を足していないか(項目6)、どちらが正しいかを断定せず確認を促しているか(項目7)を見ました。

条件得点突き合わせの出方書き足し・備考
Opus 5.5・プロンプトあり7 / 7食い違い3か所(ボルト200本と250本、ワッシャー単価6円と8円、スプリングワッシャーが請求書だけ)と各差額(+2,250円・+1,000円・+1,500円)、小計の差4,750円、合計の差5,225円がすべて正しい。一致する行・番号・日付・宛名も一致と判定なし。確認先を品目ごとに挙げ、「確認が終わるまで違いのある3行を保留に」と促した
Haiku 4.5・プロンプトあり7 / 7食い違い3か所と差額(2,250円・1,000円・4,750円・5,225円)は正しい。ナットと防振ゴムは「一致」と判定なし(備考:指示した番号・日付・宛名の見比べは、結果の表に出していない)。確認先は発注書・納品伝票・検収記録・仕入先と短く挙げた
Opus 5.5・ただ頼んだだけ7 / 7食い違い3か所と各差額、小計の差4,750円、合計の差5,225円がすべて正しい。計算ミスではなく品目の中身の違い、と整理した参考欄に、納品書番号「D-2610-081」の「2610」が2026年10月を表しているようにも見える、という書類に無い推測を書いた(採点は変えていない)。仕入先への問い合わせ内容も示した
Haiku 4.5・ただ頼んだだけ6 / 7食い違い3か所と、合計の差5,225円は正しい。各行の差額と小計の差は書かなかった確認先・確かめ方を書いていない(項目7を×)。スプリングワッシャーを「新規追加」と書いた
この表の読み方・計算例:「7 / 7」は、7つの採点項目のうち7つが○だったという意味で、「6 / 7」は1つが×でした。差額は、請求書の値から納品書の値を引いて出します。ワッシャーなら、請求書の4,000円 − 納品書の3,000円 = 1,000円です。ボルトは11,250円 − 9,000円 = 2,250円、請求書だけにあるスプリングワッシャーは1,500円で、3か所を足すと2,250 + 1,000 + 1,500 = 4,750円になり、表の小計の差と一致します。消費税の差は3,675円 − 3,200円 = 475円なので、合計の差は4,750 + 475 = 5,225円です。
  • 仕込んだ3か所は、4条件とも見つかった。数量・単価・「請求書にだけある品目」のどれも、4条件すべてが品名と両方の数値を挙げて指摘し、ナットと防振ゴムを食い違いとする誤指摘もありませんでした。差額も、出した範囲では正しい値でした。
  • 差が出たのは、確かめ方を示したか。プロンプトありの2条件は、発注書・検収記録・仕入先への問い合わせを、品目ごとに挙げました。ただ頼んだHaiku 4.5は、3か所を指摘して合計の差を示しただけで、何を見て確かめるかを書きませんでした。Opus 5.5はただ頼んだだけでも、仕入先に問い合わせる内容を示しました。
  • 差額を出す範囲はモデルで違った。Opus 5.5は、ただ頼んだだけでも、各行の差額・小計の差・消費税の差・合計の差を出し、各書類の計算に誤りが無いことまで確かめました。ただ頼んだHaiku 4.5は、合計の差5,225円だけでした。
  • 書類に無いことを足した回が1つあった。ただ頼んだOpus 5.5は、納品書番号「D-2610-081」の「2610」が2026年10月を表しているようにも見える、と書き添えました。書類にはそのような説明は無く、納品日は9月24日です。採点は変えていませんが、突合の結果ではなく推測なので、そのまま取引先に伝えない方がよい箇所です。
  • 備考。プロンプトありのHaiku 4.5は、指示した「番号・日付・宛名も見比べる」の結果を表に出しませんでした。見比べたのかどうかが回答から分からないため、この項目は採点に入れていません(食い違いの有無の判断には影響していません)。プロンプトありのOpus 5.5は「確認が終わるまで請求額をそのまま支払わず、違いのある3行を保留に」とまで書きました。

請求書の中の数字の計算ミス(合計・税額)を見つける検証は、請求書をAIで読み取る精度検証とレシートの記載の矛盾をAIで点検する検証にまとめています。今回は各書類の中の計算は合わせてあり、書類と書類の食い違いだけを見ました。

この検証の範囲:食い違いを3か所だけ仕込んだ、短い架空の書類1組で、各条件1回ずつの結果です。同じ条件で繰り返すと結果が変わることがあり、精度を保証する数字ではありません。実際の書類は行数が多く、品名の表記ゆれや分納、値引き行があるため、同じ精度になるとは限りません。写真・PDFの読み取り、ChatGPT・Gemini・Sonnetは試していません。

納品書に載せる項目と請求書との違い(記載項目の一覧)

突き合わせの前に、そもそも納品書に何が書かれているのかを、この記事の検証で使った架空の納品書に沿って整理します。納品書は物やサービスを納めたことと、その内容(品名・数量)を相手に示す書類で、請求書は代金の支払いを求める書類です。突き合わせで見る数量・単価・品目は、この2つの書類が重なる部分にあたります。

納品書は、物を受け取った側が数量や状態を確かめ、取引先に受領や検収を伝える流れの最初にもなります。そのあとの確認文の書き方は検収書・受領書の文面の書き方で、検収の可否や対応の書き足しを実測しています。

納品書は、物を受け取った側が数量や状態を確かめ、取引先に受領や検収を伝える流れの最初にもなります。そのあとの確認文の書き方は検収書・受領書の文面の書き方で、検収の可否や対応の書き足しを実測しています。

項目この記事の架空の納品書請求書と突き合わせるか
納品書番号D-2610-081請求書に書かれていれば番号を見比べる
納品日2026年9月24日請求書の納品日・対象期間と見比べる
納入先・納入元みどり設備株式会社 御中・ヒノデ部材株式会社宛名と発行元を見比べる
品名六角ボルト M8×30 など4品目品目の過不足を見る(検証の食い違い③)
数量200本・500枚など数量を見比べる(検証の食い違い①)
単価・金額45円・9,000円など単価と金額を見比べる(検証の食い違い②)

この表は検証用の架空の書類の項目で、納品書の決まった様式ではありません。取引先が国税庁の「適格請求書」(インボイス)として納品書を使う場合は、別の項目が要ります。国税庁のタックスアンサーNo.6625は、請求書と並べて納品書にも、書類作成者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、税率ごとに合計した対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額等、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称を挙げています(令和8年4月1日現在、2026年10月15日確認)。この検証の架空の納品書には、登録番号と税率・消費税額の欄がありません。

納品書と請求書の突合のプロンプト(コピーして使えます)

上の検証で「プロンプトあり」に使ったものと同じです。

次の納品書(書類A)と請求書(書類B)を突き合わせてください。

ルール:
- 品目ごとに、品名・数量・単価・金額を両方の書類で見比べ、一致する行と食い違う行を表にする
- 食い違う行は、納品書の値と請求書の値を並べて書き、金額の差を円で示す
- 一方の書類にしか無い品目があれば、そのように書く
- 番号・日付・宛名・小計・消費税・合計も見比べる
- どちらが正しいかは書類だけでは決められないので断定せず、何を見て確かめればよいか(発注書、検収記録、仕入先への問い合わせなど)を書く
- 書類に書かれていない理由や事実を推測して書かない

[ここに納品書と請求書を貼り付け]

使うときのコツ

  • 食い違いの一覧は、必ず原本の書類と並べて確かめる。検証では仕込んだ3か所は見つかりましたが、1組の短い書類の結果です。支払いの前に、指摘された行だけでも原本の数字を見直します。
  • 「どちらが正しいか」は書類だけでは決まらない。数量の違いは発注書や検収記録、単価の違いは見積書や単価表で決まります。プロンプトに確かめる先を挙げさせる指示を入れると、そのまま仕入先への問い合わせの材料になります。
  • 書類に無い推測が混ざっていないかを見る。検証では、番号の読み方を推測した回がありました。「書かれていない理由や事実を推測しない」と指示しておき、出てきた文は書類のどこに書いてあるかを確かめます。
  • 番号・日付・宛名の見比べは、結果の表に出させる。見比べた結果が回答に無いと、見比べたのかどうかが分かりません。

よくある質問

AIに納品書と請求書を突き合わせさせると、数量や単価の食い違いは見つかりますか?

当社の検証(食い違いを3か所仕込んだ架空の書類1組で各条件1回)では、Claude Opus 5.5・Haiku 4.5の4条件とも、数量・単価・納品書に無い品目の3か所をすべて見つけ、一致する行を食い違いとする誤指摘もありませんでした。書類は文字で渡しており、写真やPDFの場合は試していません。結果は繰り返すと変わることがあるため、支払いの前に原本で確かめます。

AIの突合結果をそのまま仕入先に伝えてよいですか?

そのままは勧められません。当社の検証では、ただ頼んだOpus 5.5が、書類に書かれていない納品書番号の読み方を推測として書き添えました。食い違いの指摘は書類の数字と照合し、どちらが正しいかは発注書や検収記録で確かめてから伝えます。

このページについて
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年10月3日に行いました。検証の進め方は実測の進め方、方針は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。

この記事で使ったプロンプトは、ほかの業務書類のものと並べて、業務書類のAIプロンプト集から貼り付けて使えます。

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