レシートの記載の矛盾をAIで点検する検証
合計・税率ごとの税額・登録番号の桁・曜日をOpus 5.5とHaiku 4.5で比較・点検プロンプト
経費精算で受け取ったレシートが正しいかを確かめるとき、画像の見た目だけで本物か作り物かを見分けるのは困難です。一方、合計が明細の和になっているか、税率ごとの税額が計算と合うか、といった記載どうしの矛盾は、見た目によらず確かめられます。このページでは、その点検をAIに任せたときにどこまで正しくできたかを、架空のレシート5枚で確かめた結果を紹介します。
レシート(簡易インボイス)の記載事項
国税庁のインボイス制度の案内は、インボイスの記載事項として、交付先の氏名または名称、売手の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、10%・8%それぞれの対象となる対価の総額と適用税率、10%・8%それぞれの消費税額等の6つを挙げています。小売業・飲食店業・タクシー業など不特定多数に販売する事業者は、記載事項の一部を省略した簡易インボイスを交付でき、宛先は省略でき、税率と税額はどちらか一方の記載でよいとされています。
登録番号は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで検索できます。検索では「T」を除く13桁の半角数字を入力するよう案内されています。
検証方法
当社で架空のスーパーのレシートを1枚作り、明細6行(軽減税率の※付き4行、10%の2行)、合計¥1,608、8%対象¥882(内消費税等¥65)、10%対象¥726(内消費税等¥66)、2026年9月12日(土)と印字しました。これを矛盾の無い1枚とし、1か所だけ崩した4枚を加えた5枚を使いました。店名・電話番号・登録番号はすべて架空です。
| 画像 | 崩した箇所 |
|---|---|
| 1 | なし |
| 2 | 合計を¥1,680にした(明細の和は¥1,608。お釣りは¥1,680に合わせて¥320) |
| 3 | 8%の内消費税等を¥70にした(882×8/108は65.33…) |
| 4 | 登録番号を「T」の後12桁にした |
| 5 | 曜日を「(日)」にした(2026年9月12日は土曜日) |





答えを知らないClaude(Opus 5.5とHaiku 4.5)に、画像1枚ずつを別々に渡しました。条件は、下のプロンプトで点検項目を示した「プロンプトあり」と、「このレシートにおかしなところはありますか。」とだけ頼んだ「ただ頼んだだけ」の2つです。2モデル×2条件×5枚の20回を、各1回ずつ行いました。
結果:4条件の点検の正誤
「崩した箇所の指摘」は、崩した箇所を正しく指摘できた枚数です(画像1は「矛盾なし」と答えたら正解)。「誤った指摘」は、崩していない箇所を誤りと言った枚数です。
| 条件 | 崩した箇所の指摘 | 誤った指摘 | 見落とし・誤りの中身 |
|---|---|---|---|
| Opus 5.5・プロンプトあり | 5 / 5 | 0 | なし |
| Opus 5.5・ただ頼んだだけ | 5 / 5 | 0 | 5枚のうち3枚で、登録番号を法人番号の検査用の数字の計算で確かめ、うち2枚で「先頭は1ではなく8になるはず」と書いた(サンプルはこの計算と合わない架空の番号にしてあり、指摘は外れていない) |
| Haiku 4.5・プロンプトあり | 4 / 5 | 2 | 画像4の12桁の登録番号を「T + 13桁」と数えて見落とした。画像2・3では13桁の登録番号を1桁多く読み、「14桁」と誤って指摘した |
| Haiku 4.5・ただ頼んだだけ | 2 / 5 | 2 | 画像1で税込の額に税率を掛け、「正しくは¥71」「正しくは¥73」と誤って指摘した。画像4は「おかしなところはありません」と答えた。画像5は曜日の誤りに触れず、登録番号を1桁多く読んで「14桁」と誤って指摘した |
わかったこと
- 合計の不一致と8%の税額の誤りは、4条件すべてで指摘できた。画像3では、Opus 5.5・ただ頼んだだけが「70円になるのは、882円に8%を掛けた場合」と、誤りのでき方まで書きました。
- 差が出たのは登録番号の桁。Opus 5.5は両条件とも12桁を見抜きました。Haiku 4.5は、10回のうち3回で13桁の番号を1桁多く読み、1回で12桁を13桁と数えました。桁数は、AIの答えをそのまま使わず、番号を公表サイトの検索に入れて確かめるのが確実です。
- 計算の式を示したプロンプトの条件では、税込と税抜の取り違えが無かった(各1回)。Haiku 4.5は、ただ頼んだ条件の画像1で税込の額に税率を掛けて誤った指摘をしましたが、「税込額×8/108」と式を示した条件では5枚とも税額を正しく計算しました。
- 曜日の誤りは、点検項目に入れないと見落とすことがあった。Haiku 4.5は、項目を示した条件では曜日の誤りを指摘し、ただ頼んだ条件では見落としました。
- 登録番号が実在するかは、画像だけでは確かめられない。Opus 5.5・ただ頼んだだけは、法人番号の検査用の数字の計算から「この番号は実在しない番号だと考えられます」と書いた回と、公表サイトで照会するよう添えた回がありました。実在の確認は公表サイトの検索で行います。記載に矛盾の無い偽物は、この点検では見分けられません。
レシートの記載の点検プロンプト(コピーして使えます)
添付のレシート画像について、記載どうしの矛盾がないかを点検してください。 次の5点を順に確かめ、それぞれ「問題なし」か「矛盾あり(理由)」で答えてください。 1. 明細の金額の合計と「合計」欄が一致するか 2. 8%・10%それぞれの対象額と、明細(※印の有無)が一致するか 3. 税率ごとの消費税額が、対象額(税込)から計算した額と合うか(税込額×8/108、×10/110。1円未満の端数は切り捨て・四捨五入・切り上げのどれかで合えばよい) 4. 登録番号が「T」+13桁の数字の形になっているか 5. 日付と曜日が合っているか お預り・お釣りの計算も確かめてください。 画像から読めない箇所は推測せず「読めない」と書いてください。登録番号が実在するかは画像からは判断できないので、判断しないでください。 最後に、矛盾があった箇所だけを一覧にしてください。
使うときのコツ
- 点検の項目と税額の計算式を書いて渡すと、税込と税抜の取り違えや、曜日の見落としは、この検証では起きませんでした。
- 登録番号の桁は、AIの答えを信じずに公表サイトで検索して確かめます。
- レシートの明細を表にしたい場合は、レシートの読み取りの検証のプロンプトで先に読み取り、この点検と分けて行います。
まとめ
レシートの合計と税率ごとの税額の矛盾は、Opus 5.5・Haiku 4.5のどちらでも、この検証の5枚では指摘できました。登録番号の桁と曜日は、Haiku 4.5で数え違いや見落としがありました。点検項目と計算式を示したプロンプトを使い、登録番号は公表サイトで検索して確かめる、という分担が安全です。
よくある質問
AIで作った偽のレシートを、AIで見抜けますか。
この検証で確かめたのは、画像が本物か作り物かではなく、記載どうしの矛盾(合計・税率ごとの税額・登録番号の桁・日付と曜日)です。記載に矛盾の無いレシートは、この点検では見分けられません。登録番号が実在するかは、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで検索して確かめます。
点検で見落としや誤りが出たのはどこですか。
合計の不一致と8%の税額の誤りは、4条件すべてで指摘できました。差が出たのは登録番号の桁と曜日です。Haiku 4.5は登録番号の数字を1桁多く読んだり、12桁を13桁と数えたりし、ただ頼んだ条件では曜日の誤りを見落としました。各条件1回の結果です。
登録番号は何桁ですか。
国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトは、登録番号の検索で「T」を除く13桁の半角数字を入力するよう案内しています。
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