給与明細のデータ化・検算

給与明細をAIで表に起こして検算させる精度検証

支給・控除・差引支給額の合計の食い違いを印字と手書き風で比較

結論(先に)架空の給与明細2枚(合計がすべて合っている印字の1枚、控除合計に500円の誤記を仕込んだ手書き風フォントの1枚)を、答えを知らないAIに表へ起こさせて検算させました。Opus 5.5は2枚とも合計の一致・不一致を正しく判定し、時間外の空欄も「空欄」と回答しました。Haiku 4.5は金額の転記はほぼ正確でしたが、印字では合っている差引支給額を誤読して5円違うと誤報告し、手書き風では500円の食い違いを見逃してすべて正しいと回答しました。

給与明細をAIで表にして、合計が合っているかまで確かめさせる使い方は手軽ですが、実務ではAIが「合っています」と言ったときに、それを信じてよいかが問題になります。合計がすべて合っている明細と、合計に誤りがある明細を1枚ずつ用意し、AIが転記と検算を正しくできるか、空欄を推測で埋めないかを検証しました。

検証方法

当社で架空の給与明細2枚を作成しました。会社名・氏名・社員番号・金額はすべて架空で、実在の人物・企業とは関係ありません。支給4項目・控除5項目・支給合計・控除合計・差引支給額を載せています。

  • サンプル1(印字):支給合計・控除合計・差引支給額がすべて項目の和・差と一致している。
  • サンプル2(手書き風フォント):控除5項目の和は53,377円だが、控除合計の欄には53,877円と500円多く記載し、差引支給額はその53,877円を使った199,723円としている。勤怠の「時間外」欄は空欄にした。
架空の給与明細(印字・合計はすべて一致)
サンプル1:印字(架空・合計はすべて一致)
架空の給与明細(手書き風フォント・控除合計に500円の誤記)
サンプル2:手書き風フォント(架空・控除合計に500円の誤記)

答えを知らないClaude(Opus 5.5・Haiku 4.5)に、下のプロンプトと画像を開く手順の指示だけを渡し、画像1枚ずつを別々に読み取らせました(各1回)。「金額12件」は、支給4項目・支給合計・控除5項目・控除合計・差引支給額の12件を、正解表と1件ずつ照合した数です。

結果:金額の転記と検算の結論

条件金額12件の転記検算の結論そのほか
Opus 5.5・印字12 / 12件正確3つの合計とも「一致」(正しい)勤怠・基本情報も全項目転記。保険料率・税額の正否は確認していないと明記
Opus 5.5・手書き風12 / 12件正確控除合計が500円合わないと指摘し、本来の差引支給額を200,223円と算出(正しい)時間外を「空欄」と回答。500円のずれの原因は2つを「可能性」として挙げ、担当者への確認を勧めた
Haiku 4.5・印字11 / 12件(差引支給額の1件を誤読)合っている差引支給額を5円違うと指摘(誤り)差引支給額238,838円を238,833円と読み違え、その誤読を根拠に誤りを報告
Haiku 4.5・手書き風12 / 12件正確500円の食い違いを見逃し、3つの合計とも正しいと回答(誤り)控除5項目の和を53,877円と書いて✓を付けた。会社名・氏名など基本情報と、時間外の空欄を含む勤怠を表に載せず省略

わかったこと

  • 金額の転記は、4回とも12件中11〜12件正確だった。読み違えたのは、Haiku 4.5・印字の差引支給額1件(238,838円を238,833円)だけでした。
  • Opus 5.5は、合っている明細を「合っている」、誤りのある明細を「500円合わない」と正しく判定した。手書き風では、5項目の和53,377円と記載の53,877円を並べ、本来の差引支給額は200,223円になると示しました。
  • Haiku 4.5は、検算の結論が2回とも誤っていた。印字では、読み違えた金額を根拠に、存在しない5円の誤りを報告しました。手書き風では、控除5項目の和を書き出す場面で53,877円と書いて✓を付け、仕込んだ500円の食い違いを見逃しました。
  • 空欄は、どちらのモデルも推測で埋めなかった。ただし手書き風でOpus 5.5は時間外を「空欄」と伝えたのに対し、Haiku 4.5は会社名・氏名などの基本情報と勤怠の欄を表に載せず、空欄であることも伝えませんでした。

賞与明細も、支給・控除・差引支給額の検算は同じ形です。賞与明細の読み取りでは、課税対象額と基本給の取り違えを加えた4つの点を、架空の明細で4条件に当てて確かめています。

給与明細の読み取り・検算プロンプト

添付した給与明細の画像の内容を、項目ごとに表にまとめ、支給額・控除額・差引支給額の合計が合っているか検算してください。

使うときのコツ

  • 「合っています」は原本の数字で確かめる。この検証のHaiku 4.5のように、転記の1文字の読み違いや足し算の書き間違いが、そのまま検算の結論になることがあります。合計欄の数字は自分で足し直すのが確実です。
  • 項目ごとの足し算の式を書かせる。Opus 5.5は「12,500 + 22,875 + 1,522 + 5,180 + 11,300」のように式と結果を並べ、食い違いを見つけました。Haiku 4.5も同じ式を書きながら和を誤ったので、式が出ていることが検出の理由とは言えませんが、式が出ていれば人が見直せます(効果は今回検証していません)。
  • 空欄は「空欄」と書かせる。「記載がない欄は空欄と書いてください」と一言添えると、省略と区別できます(この一言自体は今回検証していません)。
  • 保険料率・税額の正否は別に確認する。この検証で確かめたのは明細の中の足し算・引き算だけで、保険料率や税額が制度に合っているかは対象外です。
  • 実在の書類をAIサービスに預ける前に、委託先を確認する。この検証の明細は架空ですが、実務の給与明細には氏名・金額・扶養の情報が載ります。AIサービスに預けるときに委託先へ何を聞くかは、委託先への確認質問リスト12項目にまとめられています。

年金の書類(ねんきん定期便)の加入期間の合計の食い違いを4条件で確かめた結果はねんきん定期便をAIに読ませて検算させる精度検証にまとめました。

この検証の範囲:架空の給与明細2枚、上のプロンプトだけの1条件、各モデル1回ずつの結果です。明細と正解は当社が作った架空のもので、実在の人物・企業とは関係ありません。同じ条件で繰り返すと結果が変わることがあり、精度を保証する数字ではありません。保険料率・税額・残業代の計算の正否は確認していません。ChatGPT・Gemini・Sonnetでは試していません。回答の原文と採点はすべて保存しています。

まとめ

給与明細の金額の転記は、この検証ではOpus 5.5・Haiku 4.5のどちらもほぼ正確でした。差が出たのは検算の結論で、Opus 5.5は合っている明細と誤りのある明細を正しく見分けた一方、Haiku 4.5は誤りを見逃し、合っている明細に誤りがあると報告しました。AIの検算結果は、合計欄の数字を自分で足し直して確かめる前提で使うのが安全です。

よくある質問

給与明細の合計が合っているかを、AIに検算させて大丈夫ですか。

この検証では、Opus 5.5は印字・手書き風の2枚とも、合計の一致と不一致を正しく判定しました。一方Haiku 4.5は、印字の1枚で合っている差引支給額を5円違うと誤って指摘し、手書き風の1枚では500円の食い違いを見逃してすべて正しいと回答しました。各条件1回の結果ですが、検算の結論は原本の数字と見比べる必要があります。

読めない欄や空欄を、AIは推測で埋めますか。

手書き風サンプルで空欄にした「時間外」の欄は、Opus 5.5は「空欄」と回答し、埋めませんでした。Haiku 4.5は勤怠の欄ごと表に載せず、埋めてはいないものの空欄であることも伝えませんでした。

この給与明細は実在の人物のものですか。

いいえ。会社名・氏名・社員番号・金額はすべて当社が作成した架空のデータで、実在の人物・企業とは関係ありません。

このページについて
合同会社フューチャープロンプト(AIプロダクト開発・業務自動化/東京・渋谷)がまとめました。AIの検証は2026年9月29日に行いました。検証の進め方は実測の進め方、方針は検証・編集・AI利用方針をご覧ください。

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